α1ブロッカーの効く理由
前立腺肥大症や排尿障害の患者さんにα1ブロッカーと呼ばれるクスリを私たち泌尿器科医は使用します。
どのような作用なのか、イラストで表しました。平滑筋細胞の細胞膜にα1受容体(α1レセプター)というスイッチが存在しています。自律神経である交感神経の末端から放出されるアドレナリン(カギ)が、このスイッチに作用するのです。α1受容体にスイッチが入ると、平滑筋は収縮します。
例えば、膀胱出口の 括約筋は平滑筋で作られていて、交感神経が緊張・収縮させて膀胱出口を閉じて、尿を貯めるのです。オシッコをする時に、交感神経のアドレナリン刺激がストップするので、膀胱出口はゆるんでオシッコが出やすくなるのです。
ところが、人によって交感神経の指示が止まらずに、膀胱出口が完全にゆるまない人がいます。それが排尿障害なのです。交感神経の末端からアドレナリンが放出し続けるのです。そこで、ユリーフやハルナールなどのα1ブロッカーを服用すると、α受容体のスイッチをブロックするのです。結果、膀胱出口の緊張がゆるんでオシッコが出やすくなるのです。
このα1受容体は、膀胱出口ばかりではなく、前立腺・尿道・膀胱三角部にも存在します。分布・配分は人によって異なりますから、薬の効果に差が出て来るのです。頻尿の原因は膀胱三角部の過敏=平滑筋の緊張ですから、前立腺肥大症で頻尿症状のある人に、α1ブロッカーを処方すると、オシッコの出が良くなるばかりでなく、頻尿も改善する患者さんもいます。そのような人は、膀胱三角部にもα1受容体が多く存在していることになります。
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