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休診のお知らせ

【休診日】


9月6日(木曜)、9月25日(火曜)は臨時休診です。

【診療時間】

月曜日〜土曜日: 午前中9時~12時診療を行います。
ただし、火曜日・木曜日のみ、午後4時〜午後6時も診療を行います。

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α1-ブロッカーの速効性の理由#1

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前立腺肥大症で、頻尿や排尿困難の患者さんに、α1-ブロッカーを服用すると、数日で効果が出てきます。かなりの速効性です。

前立腺肥大症が排尿障害になる理由は、次の通りです。
前立腺肥大症で組織密度が高くなり硬くなった前立腺が、尿道を圧迫して排尿障害になるからです。さらに、前立腺内の平滑筋のα受容体を介して、交感神経の指示通りに緊張するので、前立腺がますます硬くなります。

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α1-ブロッカーを使って、α1受容体をブロックしますから、交感神経の指示が抑えられ平滑筋の緊張が軟らかくなります。そのため、尿道の圧迫が取れて尿が出やすくなるというものです。
しかし……です……前立腺が小さい患者さんで排尿障害の患者さんにも効果があります。さらに、ご婦人にα1-ブロッカーを服用していただくと、何と前立腺のないご婦人にも効果があるのです。

したがって、前立腺が軟らかくなったから、尿道が圧迫されないで、排尿がスムーズになると言うのは、ある意味で「いい加減」な理論です。目に見えない現象を発想の貧弱な専門家が、自分たちが想定した動物実験や臨床治験で得られた結果を公表して、自分たちの理論が、あたかも真実かのごとく思い込んでいるのでしよう。

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では、既存の排尿のメカニズムを解説しましよう。
一般的に考えられている排尿のメカニズムは、イラストのように①尿道括約筋が開く②膀胱が収縮する③膀胱出口が二次的に開く④尿が流れ出る、とされています。尿道括約筋は、通常は尿が漏れないようにしまっていて、排尿時に開いて、膀胱の圧力で膀胱出口が開くいて排尿すると思われています。
この理論が、誰が見ても一見正しいと思われるのが、病気の本質が見えてこなくなる原因です。しかし、こんなにも単純なメカニズムでオシッコが本当に出るでしょうか?尿道括約筋が開くだけで、こんなにも簡単に前立腺と膀胱出口が開いてくれるでしょうか?
この理論が正しければ、
①前立腺が小さい患者さんで排尿障害で苦しんでいる患者さんは、膀胱の力が弱くなった神経因性膀胱と診断されます。
②ご婦人でも、排尿障害の患者さんは、やはり神経因性膀胱と診断されます。
でも、α1-ブロッカーを服用していただくと、膀胱の力が戻る訳でもないのに排尿障害は改善します。
また、前立腺肥大症がとても大きな患者さんでも、排尿障害のまったくない人もいます。この理論では、説明ができません。

続く……。

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PSA検査の大いなる誤解と弊害

間寛平さんの出演する前立腺癌早期発見キャンペーンをテレビ・コマーシャルでよく見ることがあります。
PSA検査で前立腺癌を早期発見しようというキャンペーンです。年間43000人が前立腺癌になるという恐ろしい内容です。
依然、このブログで、PSA検査を発見した研究者の最近の思いを掲載しました。(ニューヨーク・タイムズの記事)ここにその直訳を載せましょう。

Published: March 9, 2010
Tucson
発行日: 2010年3月9日ツーソン

EACH year some 30 million American men undergo testing for prostate-specific antigen, an enzyme made by the prostate. Approved by the Food and Drug Administration in 1994, the P.S.A. test is the most commonly used tool for detecting prostate cancer.
『毎年約3000万人のアメリカ人の男性が、前立腺特異抗原PSA(前立腺によって作られる酵素)の検査を受けています。1994年に食品医薬品局によって承認されたPSA検査は、前立腺癌検査の最も一般的に使用される検査法です。』

The test’s popularity has led to a hugely expensive public health disaster. It’s an issue I am painfully familiar with — I discovered P.S.A. in 1970. As Congress searches for ways to cut costs in our health care system, a significant savings could come from changing the way the antigen is used to screen for prostate cancer.
『このPSA検査の流行は、高額な経費かけた国民の健康被害に発展しました。 この問題は、私にとって切ないほど馴染みのある問題です。なぜなら、1970年に私がPSAを発見したからです。 議会が国民のヘルス・ケア・システムでコストを削減する手立てを模索している時に、抗原が前立腺癌のスクリーニング検査として使用される方法に変えることで、かなりの節約になりました。』

Americans spend an enormous amount testing for prostate cancer. The annual bill for P.S.A. screening is at least $3 billion, with much of it paid for by Medicare and the Veterans Administration.
『アメリカ人は前立腺癌の検査に巨額の費用を負担しています。 PSAスクリーニング検査のため、毎年の請求額は少なくとも30億ドル(2400億円)です。それらの多くが老人医療健康保険制度と復員軍人援護局によって支払われています。』

Prostate cancer may get a lot of press, but consider the numbers: American men have a 16 percent lifetime chance of receiving a diagnosis of prostate cancer, but only a 3 percent chance of dying from it. That’s because the majority of prostate cancers grow slowly. In other words, men lucky enough to reach old age are much more likely to die with prostate cancer than to die of it.
『前立腺癌と聞けば多くの重圧を感じるかもしれませんが(あるいは、前立腺癌と知れば多くの記事や評判になるかも知れませんが)、次の数字を考えてみてください。 アメリカ人の男性が、生涯に前立腺癌の診断を受ける可能性は16パーセントです、しかし、前立腺癌で死亡というのは、わずか3パーセントしかありません。 それは前立腺癌の大部分の成長が遅いからです。 言い換えれば、幸運にも高齢者になった男性は、前立腺癌が原因で亡くなるよりも、前立腺癌を持って亡くなる人の方がはるかに多いのです。』

Even then, the test is hardly more effective than a coin toss. As I’ve been trying to make clear for many years now, P.S.A. testing can’t detect prostate cancer and, more important, it can’t distinguish between the two types of prostate cancer — the one that will kill you and the one that won’t.
『その時でさえ、この検査はコイン占い(コイントス)より無意味です。 私が、今まで何年間も明らかにしようとして出来なかったことは、PSA検査で前立腺癌を検出できないこと、さらに重要なことは、それが2つのタイプ、つまり死亡原因になる癌か天寿を全うできる癌かを見分けることができないということでした。』

Instead, the test simply reveals how much of the prostate antigen a man has in his blood. Infections, over-the-counter drugs like ibuprofen, and benign swelling of the prostate can all elevate a man’s P.S.A. levels, but none of these factors signals cancer. Men with low readings might still harbor dangerous cancers, while those with high readings might be completely healthy.
『代わりに、この検査は、男性の血中前立腺抗原がどのくらい持っているかが単に分かるだけです。 感染症、イブプロフェンのような市販薬、および前立腺肥大症はすべて、男性PSAレベルを上げます。しかし、これらの要素のいずれも癌ではありません。 PSA値が低いと判定された場合でも、前立腺癌を完全否定することはできませんが、一方で、高いと判定された場合でも、健常者とされる場合もあります。』

In approving the procedure, the Food and Drug Administration relied heavily on a study that showed testing could detect 3.8 percent of prostate cancers, which was a better rate than the standard method, a digital rectal exam.
『承認手続きの際に、食品医薬品局は、一般的な検査法である直腸触診に比べ前立腺癌発見率が良いとして、3.8パーセントの前立腺癌を検出できたPSA検査研究を大いに根拠としました。』

Still, 3.8 percent is a small number. Nevertheless, especially in the early days of screening, men with a reading over four nanograms per milliliter were sent for painful prostate biopsies. If the biopsy showed any signs of cancer, the patient was almost always pushed into surgery, intensive radiation or other damaging treatments.
『それでも、3.8パーセントは少ない数です。 それにもかかわらず、特に初期のスクリーニングでは、PSA値4ナノグラム/mL以上の男性を苦痛な前立腺生検へとしました。 生検で何か癌の兆候を見つけたら、ほとんどいつも外科的治療や積極的な放射または他のダメージが大きい治療に患者さんは追い込まれました。』

The medical community is slowly turning against P.S.A. screening. Last year, The New England Journal of Medicine published results from the two largest studies of the screening procedure, one in Europe and one in the United States. The results from the American study show that over a period of 7 to 10 years, screening did not reduce the death rate in men 55 and over.
『医学界はPSAスクリーニングに対してゆっくりと方向転換しています。 昨年、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンは、スクリーニング方法について2つの大規模研究を報告しました。1つはヨーロッパ、もう1つは合衆国の研究です。 アメリカの研究結果からは、7年~10年の期間にわたっての研究で、PSAスクリーニング検査は55歳以上の男性の前立腺癌死亡率を低下させることはなかったという報告です。』

The European study showed a small decline in death rates, but also found that 48 men would need to be treated to save one life. That’s 47 men who, in all likelihood, can no longer function sexually or stay out of the bathroom for long.
『もう一つのヨーロッパの研究では、死亡率のわずかな減少を示しましたが、48人もの男性のスクリーニング検査で、治療が必要な人をたった1人しか見つけるにすぎませんでした。 残りの47人の男性は、ほとんど性的機能が廃絶しているか、入浴できないような人たちでした。』

Numerous early screening proponents, including Thomas Stamey, a well-known Stanford University urologist, have come out against routine testing; last month, the American Cancer Society urged more caution in using the test. The American College of Preventive Medicine also concluded that there was insufficient evidence to recommend routine screening.
Thomas Stamey、『ご存知スタンフォード大学泌尿器科医、を含む多数の早期スクリーニング提案者たちは、定期PSA検査に反対しました。 先月、アメリカ癌協会はPSA検査を行う際に、さらに多くの注意を喚起しました。 また、American College of Preventive Medicine は、定期検査を推薦するには根拠が不十分であったと結論を下しました。』

So why is it still used? Because drug companies continue peddling the tests and advocacy groups push “prostate cancer awareness” by encouraging men to get screened. Shamefully, the American Urological Association still recommends screening, while the National Cancer Institute is vague on the issue, stating that the evidence is unclear.
『さて、PSA検査はなぜまだ続けられているのでしょうか? 製薬会社が、PSA検査を売り続けていることと、圧力団体が、男性はスクリーニング検査を受けるように「前立腺癌の啓蒙」を押しているからです。 恥ずかしくも、アメリカ泌尿器科学会は、スクリーニング検査をまだ勧めています。一方、国立ガン研究所はこの問題に関してあいまいな立場ですが、証拠が不明瞭と述べています。』

The federal panel empowered to evaluate cancer screening tests, the Preventive Services Task Force, recently recommended against P.S.A. screening for men aged 75 or older. But the group has still not made a recommendation either way for younger men.
『癌検診を評価するのに権限を与えられた連邦委員会(Preventive Services Task Force)は、最近、75歳以上の男性に対してPSAスクーリング検査を推薦しました。 しかし、委員会は、75歳未満の男性に対していずれにせよ勧告はしませんでした。』

Prostate-specific antigen testing does have a place. After treatment for prostate cancer, for instance, a rapidly rising score indicates a return of the disease. And men with a family history of prostate cancer should probably get tested regularly. If their score starts skyrocketing, it could mean cancer.
『前立腺特異抗原テスト(PSA)は今でも一定のポジジョンを占めているのも事実です。 例えば、前立腺癌治療後に、急速に上昇するPSA値は、病気の再燃を示します。また、前立腺癌の家系がある男性は定期的にPSA検査されるでしょう。 PSA値が急峻に上昇し始めるなら、それは癌を意味します。』

But these uses are limited. Testing should absolutely not be deployed to screen the entire population of men over the age of 50, the outcome pushed by those who stand to profit.
『しかし、これらの用途は限定的です。 50歳以上のすべての男性をスクリーニングするためにPSA検査を絶対に実施すべきではありません。PSA検査は利益追求側に立った人々によってごり押しされた代物です。』

I never dreamed that my discovery four decades ago would lead to such a profit-driven public health disaster. The medical community must confront reality and stop the inappropriate use of P.S.A. screening. Doing so would save billions of dollars and rescue millions of men from unnecessary, debilitating treatments.
『40年前の私の発見が、このような利益主導の国民健康災害につながるとは夢にも思いませんでした。 医学界は、現実に立ち向かって、PSAスクリーニングという誤りを止めなければなりません。 そうすることで、何十億ドルの節約と数百万の男性を不要で有害な治療から救出することがきっと出来るでしょう。』

【原文】

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グリソンスコア5+5=10のラテント癌

今回、ご紹介するのは、PSA値が高く心配になり、平成29年6月に来院した72歳の男性患者さんです。
平成28年にPSA値が5以上になり、診療所や大学病院で前立腺針生検をすすめられました。当院初診時には、超音波エコー検査でも触診でも、前立腺癌の所見は認められませんでした。

夜間頻尿(2回~6回)があり、超音波エコー検査で前立腺結石と膀胱三角部の肥厚を認めたので、排尿障害によるPSA値上昇と判断したのでした。
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その後も超音波エコー検査と触診を2回実施しましたが、前立腺癌の所見は得られませんでした。
その間、PSA検査を受け、その値が11を超えることもあり、患者さんは悩みました。また、周囲の友人のアドバイスも受け、私に内緒で、某がんセンターで前立腺針生検を受けてしまったのです。その結果、12本中2本に前立腺癌が発見されてしまいました。それもグリソンスコア5+5=10の悪性度の一番高い前立腺癌でした。
エコー検査や触診で確認できなくて、針生検で12本中2本ですから、ステージⅠのラテント癌ということです。問題なのは、悪性度の高いグリソンスコア10の前立腺癌を針生検で刺激してしまったことにあります。患者さんは、急いで当院を受診して今後の方針を相談に来られました。半ば後悔をしているようです。
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先ず、針生検した病院での治療方針が決まるまで、骨シンチ、MRI検査の結果待ちで3週間ほどありました。主治医は何も考えずに、計画を立てて待っています。
その間に針生検による傷害を治すために、体内の免疫・炎症システムが活発になります。結果、免疫細胞に傷付いた癌細胞は、マクロファージに貪食されるか、別の場所に運ばれてしまいます。

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能力の高い前立腺癌細胞が、自分たちの受けている状況を何もせずに傍観している訳がありません。癌細胞にとって、出来ることは、細胞分裂しかありません。癌細胞が細胞分裂をすればするほど悪性度が増すのです。癌細胞は通常3〜6週間に1回バラバラに分裂しますから、放置できません。
治療方針が決まるまで、エストラサイトを週1回1カプセルの低容量を服用してもらいました。その後、重粒子線治療を決めたのですが、人気で混んでいるため9月に開始することになりました。それまで、エストラサイトを続けて服用していただきました。

今回の記事は、この患者さんからのご希望で掲載しました。いろいろな体験をされる患者さんがおられます。記事を参考にベストの選択をされてください。


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泌尿器科の医師は、排尿障害と言う基本概念に戻れ!

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①前立腺ガンの腫瘍マーカーであるPSAが高くなる原因のほとんどが、前立腺肥大症や膀胱頚部硬化症による排尿障害が原因です。500人中の88%、440人が排尿障害でPSAが高い患者さんでした。

②慢性前立腺炎の患者さんも調べると、前立腺肥大症や膀胱頚部硬化症などの患者さんが自覚しない「隠れ排尿障害」が認められ、排尿障害の治療を行うと症状は軽快します。

③間質性膀胱炎や過活動膀胱の女性患者さんにも、「隠れ排尿障害」が潜んでいて、排尿障害を治療すると、症状は軽快します。

④陰部がかゆくなる陰嚢掻痒症・陰部掻痒症・陰門掻痒症(肛門のかゆみ)などの患者さんにも、「隠れ排尿障害」が潜んでいて、排尿障害を治療すると、かゆみは軽快します。

⑤原因不明の坐骨神経痛の患者さんの中にも、一定の割合で、「隠れ排尿障害」が潜んでいて、排尿障害を治療すると、痛みが軽快します。

⑥神経因性膀胱は、膀胱に力が無くなったから排尿できないと、一般的に考えられます。しかし、なぜ突然に神経因性膀胱になるのかという議論はなされません。長年かけて膀胱出口が十分に開放されないために、疲労・疲弊してしまった膀胱を「神経因性膀胱」と診断しているだけです。ダメになった膀胱を検査結果で、幾つにも分類しても、患者さんを治すことができませんから、全く意味がありません。隠れ排尿障害であったために、患者さんは排尿障害を自覚していません。しかし、膀胱は次第に疲れて、ある日突然に排尿障害を自覚して、それが神経因性膀胱と診断されるのです。

病気の原因をおろそかにして、目に見える症状だけに振り回されている医師は、素人同然です。長い年月をかけて得た知識と経験を利用して、患者さんの病気し本質を見つけようではありませんか!


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