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イギリスから訪れたご夫婦

イギリスの健康診断でPSA値が高く、主治医から針生検を強いられて悩むご主人を見て、奥さまがインターネット検索で、私の書いているブログをお読みになりました。私の意見に共感し、日本に来る予定があったので、ご夫婦で高橋クリニックにお越しになりました。奥さまは、私のブログをお読みになっているので、積極的ですが、ご主人は連れて来られたという印象で、落ちつかない様子です。

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前立腺の大きさは32cc(正常20cc)で少し大きめです。また、膀胱出口が膀胱側に突き出ています(白い矢印↖️)。本来の前立腺と膀胱の境界線は点線のラインです。この形態から、排尿障害が強いと考えられます。
触診では、典型的な前立腺肥大症の硬さで、左右差がありません。前立腺ガンの固い硬結も触れませんから、前立腺ガンの心配はありません。

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結局、排尿障害が強く、さらに前立腺肥大症もあるために、排尿時の強い圧力(青い矢印⬇︎)がスムーズに尿道を通過しません。そのため、圧力⬇︎はすべて前立腺にかかります。前立腺は【PSA】というタンパク分解酵素を貯蔵している臓器でもありますから、その圧迫でイラストの如くPSAが漏出して、血液検査でPSA値が高いと判断されるのです。

触診と超音波エコー検査で前立腺ガンが確認できなければ、前立腺ガンが存在しないか、あるいは最悪ステージⅠと判断できます。もしも、ステージⅠだとしても、5年生存率は癌でない人と比べても同じなのです。また、ステージⅠ・Ⅱ・Ⅲの5年生存率も同じですから、触診とエコー検査で確認できてから治療しても遅くはありません。様子をみることにしました。
1年後に再検査することにしました。奥さま!ご理解いただけましたか?

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コメント

先生、先月はありがとうございました!
よく診て頂き、説明をして頂き、一先ず安心してイギリスに戻りました。よく理解できました。
異国の地で、不安に陥り、躊躇していた中で、先生のブログを見つけて、底知れない安堵感を感じました。
先生の知識や経験を共有させて頂き、感謝しています。帰国の際は、伺わせて頂きます。
暑さ厳しい折、ご自愛下さい。
★回答
感想をありがとうございます。

投稿: KI | 2018/07/27 22:26

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