前立腺ガンが生まれる理由
前立腺ガンは、前立腺の外腺(辺縁領域)に多くできます。その理由は、いろいろと言われていますが、前立腺の構造学的観点から考えてみます。
このイラストは、胎児11週目の下部尿路を表現しています。
まず、尿道から前立腺の原基である芽が出てきます。それが、中心領域と辺縁領域です。
中心領域と辺縁領域がある程度の成長後に、遅れて移行領域が発芽します。
中心領域と辺縁領域の成長がある程度で休んでいると、移行領域の発育がますます大きくなり、尿道の前側から後ろ側に、尿道を覆いかぶさるように発育します。その結果、移行領域と中心領域が1つに融合して内腺になるのです。
内腺はドンドン発育し大きくなり、次第に辺縁領域を外側に圧迫することになります。
辺縁領域=外腺は、内腺による圧迫と、硬い繊維組織でできている前立腺被膜の間に、ギューギューと挟めれ常に圧迫刺激を受け続けます。
40歳過ぎてから、内腺はますます大きくなって前立腺肥大症になりますから、外腺は更に一層圧迫されます。また、前立腺肥大症で排尿障害が出現し、排尿の際に排尿圧力が前立腺に直接かかり、外腺はトコトン刺激を受けます。
つまり、前立腺外腺は、前立腺が生まれた時は辺縁領域として、出産後は外腺として、40代以降は内腺にできた前立腺肥大症に強く圧迫される外腺として、何回も圧迫刺激を受け続けています。そして、男性ホルモンであるテストステロンの変動刺激を胎児の頃から6回も受けています。これほど物理的刺激・化学的刺激を受ける窮屈な分泌腺は生体内には存在しません。外腺にガン細胞が生まれても不思議ではないでしょう。
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コメント
髙橋先生
50歳男性になります。
数か月前から会陰部に違和感(鈍痛)があり、長時間の着座が辛い状態になっています。かかりつけの内科に行ったところ、前立腺ではないかとのコメントを頂きました。
そこで泌尿器科のある総合病院を受診しましたが、問診のみで「運動するように」という説明のみ。別の病院では血液と尿の検査を行いましたがPSAは3~4の間、尿は問題なしで「できるだけ座らないように」との指示のみでした。
次の病院で無理にお願いして、ようやくエビプロスタット錠を処方してもらいましたが、1か月ほど飲んでも大きく改善しているようには思いません。
この状態でしばらく様子を見ていても問題ないのでしょうか。アドバイスを頂ければ幸甚です。
★回答
慢性前立腺炎は、隠れた排尿障害が原因です。
そのため、排尿障害の治療薬わ服用しないと改善しません。
排尿障害治療薬よユリーフと頻尿治療薬のベタニスの併用がオススメです。
投稿: S.S. | 2018/04/14 09:58
髙橋先生
ご回答ありがとうございます。頻尿など排尿障害の自覚は無いのですが、隠れているということなのですね。
【回答】
はい。」
PSAの値が1年前と比較して1.0程度上昇しているのですが、これも慢性前立腺炎の影響なのでしょうか。一つ目の病院では、慢性前立腺炎ではPSAは上昇しないと、関連性を否定されています。
【回答】
排尿障害が進行したためでしょう。」
また、続けての質問でたいへん恐縮ですが、エビプロスタットも排尿障害改善の薬と説明を受けたのですが、ユリーフとベタニスより効果が弱いということでしょうか。
【回答】
はい。」
なお、MRIの結果では前立腺肥大の兆候はないとは言われています。
【回答】
MRI検査結果を診断する医師は、泌尿器科医ではありません。
ただ画像の絵を見ているだけで、当てになりません。」
よろしくお願いします。
投稿: S.S. | 2018/04/14 22:51