前立腺針生検への疑問
【PSA検査→PSA値が高い→前立腺ガンの疑い→針生検→前立腺ガンを確認→ガンの組織像(悪性度)を調べる→治療方針を決定する】
以上が、前立腺ガン検診とその後の治療の流れです。一見完璧でツッコミどころの無い理論展開です。
しかし、私から言わせると、ツッコミどころが満載です。
今まで入手した文献データを基に考えると、次のいろいろなツッコミが出来ます。
❶男性には、PSA値とは無関係に年齢に応じたラテント癌が存在する!
50歳代12%
60歳代22%
70歳代35%
80歳代50%
この%には、前立腺ガンの患者さんは含まれていない。
❷PSA値が高くなる原因は、前立腺ガン以外の方がはるかに多い!
❸F/T比は、排尿障害があると当てにならない!
❹針生検で前立腺ガンを刺激して、生き物である癌細胞が「ジッ」と黙っているとは思えない!
❺ステージが低ければ(Ⅰ〜Ⅱ)治療の対象にならない事が多い。しかし、発見された事が患者さんに精神的トラウマを残す!『俺は、がんだ!ガンだ!癌だ〜!』
❻ステージが中等度(Ⅱ〜Ⅲ)であれば、ホルモン治療・超音波治療・放射線治療・重粒子線治療・手術治療の選択を患者さんの責任で選ばなければならない。キッカケを作ったのは医師なのに!
❼ステージが高ければ(Ⅲ〜Ⅳ)、一般的にはホルモン治療だけである。
❽ステージ分類は針生検なしで、触診とエコー検査でほぼ90%予想可能である!
❾継続したホルモン治療により、去勢抵抗性前立腺ガンCRPCを育てる可能性がある。
➓その場合、針生検がCRPCを育てるキッカケを作った可能性がある。
⓫ステージⅠ~Ⅲの前立腺癌は、文献から他の病気の生存率と変わりない。針生検で発見しなければ、もっと生存率が高かった可能性がある。
⓬悪性度の高い低分化型(グリソンスコア8・9・10)は、針生検直後から生存率が極端に低下する!
以上の事から、初めの【理論展開】が、如何に稚拙で短絡的な思考法かということが分かる。
初めの【理論展開】で利益が得られるのは、針生検を受けた患者さん40人に1人位です。
PSAが高く、様々な検査で明らかに前立腺ガンを認められ、積極的な治療、例えば放射線治療・手術治療を受けたい患者さんに限って、針生検を実施すれば良いでしょう。
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