« 頻尿の芸能人 | トップページ | 医師をも悩ませる前立腺ガン »

プロスタールの実力

Size35690m802
PSA値が8~10と高く、前立腺癌を疑われ、前立腺針生検すすめられた80歳の患者さんです。
前立腺針生検を拒否して、インターネットで当院を見つけ来院しました。
超音波エコー検査で前立腺の大きさが68ccと通常の3倍以上の大きさです。普通は、20ccですから、これではPSA値が高くても不思議ではありません。ところが、よ~く見ると、前立腺の右葉端に小さな陰影(赤い矢印➡)が認められます。触診をすると、前立腺右端に硬結が触れました。間違いなく前立腺癌です。
そこで、前立腺を小さくするためと、前立腺癌の治療のためにプロスタール2錠毎日で処方しました。

Img_0648
前立腺が大きくPSA値が高い人に対しては、まずは前立腺を小さくすることがやらなければならないことです。一般の泌尿器科医は、PSA値が低くマスクされるという理由で、実行しません。この治療でPSA値が低くなるのであれば、その程度の前立腺ガンと考えても良いのではないでしょうか?
しかも80歳過ぎの患者さんに、前立腺針生検を強要する医師は、患者さんの人生のことを何にも考えていません。自分の父親だったら、そこまで強要するでしょうか?
私が研修医の頃からあったプロスタールは、毎日2錠で前立腺肥大症に、毎日4錠で前立腺癌に保険適応が承認されている都合の良い薬剤です。良性に近い高分化型や中分化型であれば、前立腺肥大症として治療しても効果が出ます。

Size35690m803m
3カ月後、患者さんがお見えになり、前立腺の状態を再検査して欲しいと希望があったので検査を行いました。すると、3カ月しか経っていないのに前立腺の大きさが何と35ccでした。約2分の1でした。
しかも、前立腺癌の陰影が認められません。触診でも硬結は触れませんでした。高分化型の前立腺癌を前立腺針生検をしないで治療したことになります。
プロスタールが、前立腺肥大症の治療薬としてファースト・チョイスとして処方されていた時代は、これほど多くの前立腺ガン患者さんはいませんでした。なぜなら、プロスタールが高分化型や中分化型の前立腺ガンを死滅させていたからなのです。ところが、前立腺肥大症の排尿障害を効果的に治すハルナールの出現でプロスタールが使われなくなりました。さらに、プロスタールなどの抗男性ホルモン剤がPSA値を下げてしまい、前立腺ガンの発見が遅れてしまうからという文献が過大評価されたからです。
プロスタールの売上げの減少に反比例して前立腺ガンが増加する印象でした。研究者たちのバカな思い込みが作った、これが前立腺ガン患者さん増加現象の本質かも知れません。

|

« 頻尿の芸能人 | トップページ | 医師をも悩ませる前立腺ガン »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 頻尿の芸能人 | トップページ | 医師をも悩ませる前立腺ガン »