針生検は何回まで?
前立腺針生検のガン発見まで、針生検を何回まで行う価値があるのか?の情報をインターネットで見つけました。ここで、その要約をご紹介します。
◉複数の文献によると、
【PSA値が4.0〜10.0 ng/mL のグループ】
❶2,3,4回目の生検における検出率はそれぞれ
10%,5%,4%であった。
❷2,3,4,5,6回目の生検における検出率はそれぞれ
17%,14%,11%,9%,7%であり,7回以上の生検で癌は検出されず,91%の癌が2回までの生検で検出されていた。
【PSA値10.0 ng/mL 以上のグループ】
❸4回目の生検における検出率は11%であった。
❹2回以上の生検で癌が検出された症例の前立腺全摘標本においては,初回生検で癌が検出された症例よりも良好な(良性?低悪性度?)病理所見が示されている。
すなわち,複数回の生検で癌が検出された症例の方が,Gleasonスコア,病期が低く,腫瘍体積が小さかった。3回目以上の生検で検出された癌に限った報告においても同様の結果であった
◉以上をまとめると,
大部分の前立腺癌は2回目までの生検で検出され,3回目以降の検出率は多カ所生検を施行しても低い,また,3回目以降で検出される癌は低グレード/低ステージが多いということになる。
3回目以上の生検を行うにあたっては,生検回数が増すにつれ臨床的に重要でない癌(良性に近い癌、グリソンスコア6以下の癌)を過剰に検出する可能性が大きくなることを考慮に入れなければならない。
【参考】
http://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0032/G0000435/0036
★★★私の意見
この文献から分かるように、前立腺針生検は多くても2回目までです。
3回目以上の針生検は、ステージ❶の前立腺ガンを発見するだけです。以前に解説したように、ステージ❶〜❸の5年生存率は、健康人と変わりません。
また、1回目の針生検で発見出来ないのは、少なくてもステージ❶❷だけです。この時点でも2回目以降の針生検の必要はない事が分かります。
前立腺針生検が、実施中の痛み、検査後の出血や前立腺炎症状で苦しむ患者さんにとっては、心のトラウマになってしまうのです。ある意味、PTSD(心的外傷後ストレス障害)です。医師は患者さんを助けることが仕事にも関わらず、ワンパターンの検査・治療で患者さんを苦しめる必要があるのでしょうか?
開業医の私がインターネットでチョッと資料を集めて、透析の4時間の間に書き上げたのが、この原稿です。ベッドの上で考えた理論展開だけでも、この程度の結論を出す事が出来ます。自分たちの常識に対して常に疑問を持つべきです。複数回の針生検をする事は、ある意味で傷害事件と同じの犯罪です。
私の偏向した考え方かもしれません。完璧な理論であれば、私の考えの入る余地もない筈です。あとは読者の判断にお任せします。
| 固定リンク
コメント