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前立腺ガンの早期発見の意義に異議?

Img_0182前回に解説したように、前立腺ガンが原因で亡くなるのは、ガンの悪性度に無関係にステージ❹だけと考えることが出来ます。
悪性度に無関係ならば、極論すると前立腺針生検を行う意味がありません。ステージ❶はともかくとして、ステージ❷〜❹は、超音波エコー検査、触診やMRI検査でほとんど診断出来ます。これら検査で前立腺に腫瘍陰影が、確認されたのなら、前立腺ガン以外の悪性腫瘍を経験したことがありません。もちろん、稀に前立腺肉腫の場合もありますが、本当に稀(前立腺ガンの千人に1人の割合)です。現在の前立腺ガン死亡数は、12000人ほどですから、10人はいないでしょう。文献的には、1961年〜1967年まで7年間に19人が登録されているのみです。1961年〜1967年までの前立腺ガン死亡数は、年間千人前後ですから、19人➗8000人=0.24%位でしょうか?前立腺肉腫の患者さんが全て亡くなる訳ではありませんから、罹患数で計算してみましょう。1961年〜1967年の前立腺ガン罹患数は、約35000人です。19人➗35000人=0.00054、すなわち0.054%です。ほぼゼロと考えて良いでしょう。
また、前立腺肉腫はPSA検査の異常値が出ませんから、PSA値が高くて前立腺ガンを疑われた患者さんは、前立腺肉腫を考えなくても良いと判断できます。

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PSA検査の値と前立腺ガンの発見率を示すグラフです。
グレイゾーン(PSA値10以下)で発見率は、20〜28%以下です。さらにPSA値30前後で、50%前後です。50%と言えば、当たるも八卦当たらぬも八卦、丁半博打(バクチ)と同じ確率がです。前立腺ガンの潜伏率は平均で25%前後ですから、PSA値10以下の患者さんの潜伏率と前立腺ガンの発見率は、ほぼ同じです。それから考えると、グレイゾーンの患者さんは、ステージ❶〜ステージ❸の範疇ですから、たとえ超音波エコー検査やMRI検査や触診で確認できなければ、前立腺針生検の必要はないと思えます。

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このグラフ📈は、他の医療情報に掲載されていたものです。PSA検査が登場して普及すると同期するように、前立腺ガン罹患数と前立腺ガン死亡数が増加しています。
一般的には、日本人の前立腺ガンは、理由はともかく増加傾向にあります。それを理由にPSA検査を神経質に実施することを推奨しているのです。

しかし、これらデータグラフの評価には疑問を感じます。始めのグラフからは、PSA検査が如何に有意義かと言うのが見え見えです。あくまでも客観的に読まなければいけません。
2番目のデータからは、PSA検査が普及したことが、隠れていた前立腺ガンを見付け出して、とても有意義であった如くです。前立腺ガンは発見しなければならないと言う常識が間違っていたら、後世の人達に、どのような言い訳をするのでしょうか?その点アメリカは、PSA検査の不利益性を公表して、十分に説明した上で、患者さんが充分に納得したのならPSA検査を実施しても良いとされています。そのため、健康診断や人間ドックでは、許可なくPSA検査をすることはありません。日本と大違いです。

データには、プラスの面とマイナスの面が、常に表裏一体で存在します。データを収集した研究者たちは、自分たちの目的に沿うように都合良く結論付けます。そして、その結果が公認されると、その結果を土台にして次から次へとデータを積み重ね、最終的には完璧に誤った方向に向かってしまうのです。まるで、土台の水平をおろそかに建築したために建物が傾いてしまうようです。

ここに示している2つのグラフ📈は。インターネットで簡単に検索出来ます。私程度の医師が、これらグラフを見て、簡単にケチを付ける事ができます。データは表向きの判断ばかりではなく、裏表を充分に考察評価しなければなりません。また。いくつかのデータを比較検討して、矛盾がなければ構いません。ところが、医学の世界では、先を争って報告しなければなりません。何しろ、競争社会ですから、多少の矛盾は目をつぶり、名声名誉が欲しいのです。

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