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前立腺針生検の本数

Biopsy
前立腺針生検は、通常8本~12本実施されるのが一般的です。
昔は、経直腸式か経会陰式で実施されていましたが、今では、その両方で行われています。
つまた、生検の本数が多ければ多いほど前立腺ガンの発見率が上がるとされています。
6本で22・7%。12本では28・3%,18本で30・7%と報告されています。

前立腺針生検を何回か実施された患者さんもよく訪れます。患者さんによっては、4回目の前立腺針生検でやっと前立腺ガンが発見された人もいます。
文献的には、前立腺ガンが存在していて、1回目の生検でがんの診断ができる確率は75%、2回目で90%程度、3回目で95%となっています。

これらのデータは、針生検の本数を多くすればするほど、前立腺ガンを発見できるので、積極的に前立腺針生検をしましょう。早期に前立腺を発見できれば、命が助かるといのが本音でしょう。

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この表は、前立腺ガンのステージ別の5年生存率と、5年相対生存率の比較です。前立腺ガンとしての実測5年生存率は90%を切っています。しかし、患者さんの年齢別の生存率を補正すると、ステージ❶〜❸の5年相対生存率は100%です。つまり、前立腺ガンの治療した患者さんの生存率と、前立腺ガンが発見されなかった人の生存率が同じとういことです。
この表の言いたいことは、前立腺ガンの治療によって、ガンによって亡くなることはない?と言いたいのでしょう。

しかし、前立腺ガンを発見するための針生検をしなければ、前立腺ガンは刺激されずに、静かにジッと前立腺の中で余生を送り潜んでいたかも知れません。その結果、前立腺ガンに怯えることなく、天寿を全うできたかも知れません。PSA検査で針生検を勧められ、前立腺ガンを発見されたために、逆に前立腺ガンで亡くなる人がいるでしょう。前立腺ガンが発見されなかったら、天寿を全うできたかも知れません。ステージ❶で14.4%、ステージ❷で11%、ステージ❸で16.1%の人が、前立腺ガンで亡くなる事もなかったかも知れません。

以上のお話しは、私の奇想天外の考えです。データを表面的に観察すれば、従来の考え方になります。それは、データを収集した人たちのあらかじめ自分たちの論理に沿ったデータですから、仕方がないでしょう。しかし、客観性追求し様々な観点から考えれば、私が提示した論理にもなります。判断するのは読者です。

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前立腺癌ステージ❶の心得

Stage以前に週刊ポストのテーマについて解説しました。
受けてはいけない治療に前立腺ガンがありました。ステージ分類で調べると、ステージ❶~❸に関しては、経過観察も手術治療もほとんど有意差がありませんでした。


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ステージ分類❶〜❹は、泌尿器科学会の分類A〜Dと同じです。
ステージA(ステージ❶)は、触診でも超音波エコー検査でも分かりません。
ステージB〜D(ステージ❷〜❹)は、触診でも超音波エコー検査でも容易に判別できます。したがって、当院に来院して、触診でも超音波エコー検査でも前立腺ガンが証明されない場合には、前立腺ガンが存在しないか、存在したとしてもステージA(❶)であることが分かります。すなわち、針生検の必要はなく、安心して半年〜1年毎の定期検査を受ければいいのです。

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通常、前立腺ガンの倍加速度(前立腺ガンの体積が2倍になる時間)は、速いもので2年、遅いもので20年以上と言われていますから、1年毎の定期検査でも、大きくならず発見できないかも知れません。
5年生存率から考えれば、ステージ❶の人は、少なくても5年間は問題なく生れるという事です。
当院に来院して、前立腺ガンが認められない場合、ステージ❶以下という事ですから、前立腺ガンについて心配する必要は全くありません。逆に、癌の存在を確かめるために針生検することは、前立腺ガンを刺激することですから避けた方が良いでしょう。

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この表は、癌研が発表したステージ別5年生存率です。手術した方が、5年生存率は優位に良いと思われます。しかし手術をしないグループは、全く何もしていなかった訳ではありません。前立腺針生検を全員実施しています。つまり、前立腺に10〜20ヶ所も傷つけて前立腺ガンを刺激しているのです。ガンを刺激しておいて何もしなければ、前立腺ガンは悪化してもおかしくはありません。それが前立腺ガン5年生存率の有意差になるのでしょう。この統計では不明ですが、グリソンスコアという悪性度は論じられていません。悪性度の高い癌を刺激すれば、手術しないグループが5年生存率の悪くなるのは当然でしょう。
針生検をしないで、ステージ❶以下と診断された人は、気にせずに、人生を充分にエンジョイ❤️してください。

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前立腺ガンの新しい薬 「イクスタジン」

Img_0264前立腺ガンの癌細胞は、アンドロゲン男性ホルモンのレセプターが細胞表面にあり、アンドロゲンの刺激で癌細胞が増え続けます。
前立腺ガンの治療法は、男性ホルモンの分泌を抑えるか、男性ホルモンをブロックするのが一般的です。しかし、治療経過が長いと癌細胞も賢くて、細胞内に男性ホルモンを作るので、それまでの治療では効果が出なくなります。この癌細胞を去勢抵抗性前立腺ガンと言います。
こうなると、前立腺ガンは力を付けて、その後の抗がん剤治療にも反応しなくなります。

Img_0265このイクスタジンには、3つの作用があります。
❶アンドロゲンが受容体に結合する過程をブロックする。
❷アンドロゲン受容体が核内へ移行する過程をブロックする。
❸アンドロゲンとDNAが結合する過程をブロックする。
特に、去勢抵抗性前立腺ガンは、癌細胞内で男性ホルモンを作るので、❸番目の作用が有効です。


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前立腺ガンの罹患数と死亡数

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このグラフは、乳がんの罹患数と死亡数の年次推移を示しています。
現在、乳がんの過剰診断が問題になっていますが、それは、乳がんの罹患数(発見数)と死亡数の乖離(かいり)が問題視されているからです。乳がんの発見数が増える程、死亡数は増えていないという現象です。乳がん検診で、治療の不必要な乳がんを発見しているのではと言うのです。

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乳がんの例と同じことが、前立腺ガンについても疑われています。前立腺ガンの罹患数(発見数)の上昇と前立腺ガンの死亡数が乖離(かいり)しているという指摘です。
このグラフは、前立腺ガンの罹患数と死亡数の年次推移を示しています。
乳がん以上に前立腺ガンの発見数と死亡数の乖離は広がっています。乳がんと同様に「過剰診断」が問題視されています。

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以前に週間現代に取り上げられたデータです。
PSA検査の盛んだった頃のアメリカと、それほどでもなかったイギリスとの前立腺ガン発見率(10万人当たり)と死亡率(10万人当たり)の比較を示すグラフです。
アメリカでは、発見率が増加している割に、死亡数がイギリスとほとんど変わらないのです。発見するためには前立腺針生検しなければ分かりませんから、意味のない前立腺針生検をされた患者さんが大勢いるということです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51133

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前立腺ガンの死亡数の牽引しているのが、悪性度の高い低分化型の癌細胞です。グリソンスコアGSで言うと、GS❽〜➓です。
このグラフを見て分かるように、低分化型だけが、針生検した直後から生存率が一気に低下して行きます。高分化型は、10年で生存率が85%くらいですが、低分化型は、10年で生存率が20%を切っています。それまで沈黙していた低分化型が、突然として悪性度を露見したのは、どう考えても針生検がキッカケでしょう。針生検しないで治療すれば、こんなにも生存率が低下しなかったでしょう。

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前立腺ガンの超音波エコー所見

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前立腺は、模式図のようです。尿道を取り囲むように前立腺内腺があり、前立腺内腺を取り囲むように前立腺外腺があります。前立腺外腺は直腸に面しているので、触診で直腸から前立腺外腺を触れることができます。前立腺肥大症は、前立腺内腺から発生しますが、前立腺癌は前立腺外腺から発生します。ですから、超音波エコー検査も触診も前立腺外腺に集中すれば、ほとんどの前立腺癌は確認できます。


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前立腺ガンの早期発見の意義に異議?

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前立腺癌の5年生存率

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