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前立線とガンの気持ち?

病気の複雑な振る舞いを考える際に、自分が病気そのものとなって考えると、見えてきます。

私が、前立腺の「意志」そのものだと思ってください。

私の身を置く人間は、更年期になって、男性ホルモンが随分と低下しています。これでは、前立腺が十分に機能を発揮できません。仕方がないので、少しづつ変身していこうと思います。とっても低ければ、死滅して前立腺全体を萎縮させれば良いのです。しかし、中途半端に男性ホルモンが分泌されている場合は、死滅したくないので何とかしましょう。現代の人は年齢の割には栄養状態が良いので、生き続ける道を決め、前立腺肥大症になることにしました。

さらに時間が経過すると、なお一層男性ホルモンが低下しています。これでは前立線としては、とても苦しい状況です。今後の悪い状況が予想できますから、今の内に何とか対策を立てねばなりません。
そこで、男性ホルモンを作る可能性のある細胞を、今後のために育てて行きます。これがラテント前立線ガン細胞です。将来において、男性ホルモンが極端に低下した時には、男性ホルモンを作れるように準備させました。

先日、私に針が何本も突き刺されました。排尿障害の結果、PSAが前立線から漏出してしまい、前立線ガンのリスクが高いとワンパターン医師が勘違いして、針生検をしてしまったのです。随分と出血もあり、炎症細胞も集中し、とても苦しい思いをしました。飼っていた前立線ガン細胞が、いくつか拉致されていました。すると、その数日後から男性ホルモンが極端に低下し、その状態が延々に続くのでした。これでは、私、前立線が生きて行くことは出来ません。この現状を何とか打破しなければなりません。気がつくと、残っていた前立線ガン細胞が、針生検の刺激で興奮して、急激に分裂増殖し始めました。その中で男性ホルモンを作ることのできる強い細胞が産まれました。順調に男性ホルモンを作っています。おかげで、仲間がだんだんと増えています。その有能な細胞が、去勢抵抗性前立線ガンです。

しかし、男性ホルモンの低下により私は力が全く無くなりました。去勢抵抗性前立腺ガン細胞は、自分たちにしか、作った男性ホルモンを使用できない状態です。私のほとんどが去勢抵抗性前立腺ガンに置き換わってしまったので、前立線の私には、もう制御が全くできません。さらに分裂・増殖・悪化するので、私が身を置く人間の命の危険性が高まりました。これでは本末転倒です。結果、私は消えて行く運命です……。

Pca35191m50dentistpe私は消え......気がつくと、他の人間の前立腺の存在になっていました。また、前立腺の意志になったのです。更年期を過ぎ、男性ホルモンが低下して来ました。男性ホルモンが欲しいので、前世と同じく男性ホルモンを作る細胞を育てました。これがラテント癌です。排尿障害で再びPSAが漏出してしまい、血液検査で前立腺ガンを疑われてしまいました。また針生検で、前世と同じ道を歩むのか?と悩みました。
この人間が受診した医師は、エコー検査と触診検査で発育した前立腺ガンを発見されてしまいました。しかし、針生検はせずに治療が開始されたようです。

また極端な男性ホルモンの低下が襲ってくるのか?と思っていたところ、わずかな低下でした。それでも私は萎縮しました。おかげでPSAは漏出しなくなりました。さらに、環境が変わりました。この人間のものではない男性ホルモンが、わずかながら流れて来たのです。どうやってホルモンが入って来たのか分かりませんが、せっかく育ってきた未熟な去勢抵抗性前立腺ガンが、新しい男性ホルモンの刺激で成熟が止められてしまいました。新たな男性ホルモンがあるから、前立腺が男性ホルモンを作る必要がないだろうと、思わせてしまったのです。この医師の治療に、まんまと騙されてしまったのです。不本意ですが、前世と同じ不幸にはならないばかりではなく、この人間は天寿を全うできるでしょう。

以上の物語は、私の考えたフィクションです。

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