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排尿障害の治療をしても、PSA値なかなか下がらなかった患者さんの例

PSA値が高くなる原因として、排尿障害が原因ですと、私はこのブログで力説しています。
が、私も前立腺癌に騙されることもあります。ここで一例をご紹介します。

Pca25581m69psa116PSA値が11.6と高い値で関西から来院された69歳の男性です。
超音波エコー検査で前立腺結石・膀胱頚部硬化症・膀胱括約筋の変形を認めたので、排尿障害のためのPSA値上昇と判断しました。
治療としてハルナール・アボルブを行い、PSA値は順調に下がり始めましたが、PSA値6~7前後を繰り返すのみでした。
2年ほど経過して排尿障害が強く出るようになりました。そこで再度超音波エコー検査を実施したのが、上の写真です。写真の左下(患者さんにとっては右側)に陰影を認めます。触診をすると前立腺の右葉に硬結を触れます。


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PSA値21.81の患者さんの動揺

Pca30380m56psa2181PSA値が高いと九州から8月に来院された患者さんの例です。
PSA値が21.81と非常に高く、地元でMRI 検査で前立腺癌を疑われました。以前から頻尿や残尿感、睾丸の痛みなどの慢性前立腺炎症状があり、排尿障害が原因のPSA値の高値ではないかと来院されました。

超音波エコー検査では、写真の如く、前立腺外腺部分に2か所黒く見えます。触診で同じ部分に硬いシコリ(硬結)が触れます。間違いなく前立腺癌です。超音波エコー検査で計測すると、1つは1.16cc、1つは0.69ccの体積があります。1.16ccの腫瘍はイビツでとても硬く悪性度が高いと判断できます。0.69ccの腫瘍は丸みを帯びており前立腺肥大症に近い硬さで、悪性度が中等度と判断できます。

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顕在癌の検出率

PSA値が高いと言って心配されてくる患者さんがたくさんいます。
8月初めから今月の11月初めまでで、160人のPSA値が高い患者さんが来院されました。その内、前立腺触診で前立腺癌と診断された患者さんは22人です。PSA値が高い患者さんの13.8%に触診で触れるような前立腺癌が発見されるのです。
PSA値が一番高い人で94、74.8ng/mL、一番低い人で4.67ng/mLです。一番高い人二人と一番低い人のデータを除き平均すると、顕在癌のPSA値の平均は15.1ng/mLになります。つまり、PSA値が10ng/mL以上であれば、前立腺顕在癌の可能性が高くなります。

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