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考察 デュタステリド(アボルブ)REDUCE試験の本質と希望 #本質の章

Avolvestudy右の表は、REDUCE試験に参加した人の全体像を示しています。
年齢は48歳~77歳で63歳前後にピークがあります。
前立腺体積は45cc前後にピークがあります。


Reducesize上の表の前立腺体積(prostate volume)を拡大したのが右図です。
前立腺体積は、45.7±18.49と示されています。この数字から計算して、治験に参加した人の前立腺体積は27cc~64ccと計算できます。
前立腺の小さい人と大きい人では倍近く大きさが違うことに気づきます。

Reducesize2ところが、この表記は平均値±標準偏差を示していますから、右図のように母集団の68%を示しているに過ぎません。全体を把握しようとするのなら、45.7±(18.49×3)という計算式になります。
このREDUCE試験では前立腺の大きさを80cc以下の範囲と決めていますから、実際の前立腺体積は20cc~80ccの広がりが存在します。つまり前立腺の小さい人と大きい人では4倍以上の大きさの違いがあるのです。

Reducebiopsyvolumeこの試験の針生検の本数は、前立腺の大きさに関係なく10本~12本に固定されています。
つまり、右の表のように40ccの前立腺に対して12本針生検したとすれば、針生検1本当たりの前立腺体積は3.33ccになります。20ccの大きさから70ccの大きさまで、針生検の本数を12本に固定するのならば、表のように針生検1本当たりの前立腺体積はバラバラです。前立腺癌を見つけなければならない針生検の信頼性が台無しです!

Reducebiopsyvolume2針生検の信頼性を保つためには、右の表のように前立腺の大きさに応じて針生検の本数を変えるべきです。
前立腺体積40ccで針生検本数12本と決めたのなら、1本当たり前立腺体積3.33ccになるように針生検本数を換えれば、前立腺癌発見のチャンスはほぼ等しくなり、これこそ科学的な試験になります。

Reducebiopsyvolumeupさらに、この試験には問題を抱えています。
プラセボ群では前立腺に関しては放置ですから、時間の経過とともに前立腺体積は大きくなります。(具体的には平均で+19.7%大きくなっています。)
しかし、この試験では前立腺の大きさに関係なく針生検の本数は固定されていますから、前立腺が大きくなっても針生検本数は同じです。つまり、体積が大きくなって前立腺癌を見つけにくい状態になっても、針生検本数は同じなのです。これでは、科学的な検査にはなりません。
右の表のように、前立腺体積が大きくなったら針生検本数を増やすべきでしょう。

Reducebiopsyvolumedown逆にアボルブ群では、薬剤効果で時間の経過とともに前立腺体積は小さくなります。(具体的には平均で-17.5%小さくなっています。)平均で20%前後、効果が著しい人で50%程度前立腺体積が縮小します。
前立腺体積は小さくなっても針生検本数は固定されていますから、前回の検査に比較して前立腺癌の検出率が高くなるのは当然です。これでは、プラセボ群とアボルブ群との間で針生検の信頼性の整合性が維持できなくなります。
やはり、右の表のように、前立腺体積が小さくなった場合には針生検本数を少なくすべきです。

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