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オゾン療法

抗癌剤やホルモン治療が効かない前立腺癌末期の患者さんを診察する機会が多くなりました。自分の無力さを痛感する場面です。しかし、手をこまねいて見ている訳にはいきません。あの手この手を考えながら、患者さんに様々な治療法を提案しています。

代替医療の世界で、「オゾン療法」なる治療法があります。別名血液クレンジング療法とも呼んでいます。
100~200ccの血液を専用瓶に採血し、そこにオゾンガスを混合し、オゾン化した血液を体の中に戻すという治療法です。(詳細は日本酸化療法研究会を参照)

【オゾン療法の効果】
ヨーロッパなどでは、B型C型の肝炎や、HIVのウイルスの増殖を抑えるために用いられています。虚血性疾患に対しては、保険適用にもなっています。狭心症や心筋梗塞など、虚血性心疾患の後にオゾン療法が治療として行われています。他にも、老人性網膜変性疾患、アトピー性皮膚炎などアレルギー・自己免疫疾患にも用いられます。(投与量により免疫調整作用)、また、免疫力を上げる作用に優れ、がんの補完療法として外科手術後に使用されています。

がんの補完医療(代替医療)では、週2回、5週間を1クールとして、年1・2回繰り返すという形です。また、歯科領域でも使用されていますが、これはオゾンガスの直接的な殺菌作用が主で、上記のような医科でのオゾン療法とは作用機序が少し異なります。

【オゾン療法適用疾患】
1. がん、悪性リンパ腫
2. 自己免疫疾患(慢性関節リウマチ、多発性硬化症、クローン病、アトピー性皮膚炎、エリテマトーデス)
3. 線維筋痛症
4. ウィルス性疾患(B型,C型肝炎、HIV、パピローマウィルス、帯状疱疹)
5. 慢性腎不全
6. 慢性疲労症候群
7. 脳神経退行性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、痴呆)
8. 呼吸器疾患(肺気腫、COPD )
9. 真菌感染症
10.眼科疾患(白内障、緑内障、加齢性黄斑変性症)
11.動脈閉塞性疾患(心筋梗塞、脳梗塞)
12.下肢静脈瘤
13.糖尿病(糖尿病性末梢神経障害、糖尿病性壊疽)

代替医療のブログで簡単に解説しましたが、血液中に高濃度に含まれたオゾンの立ち振る舞いに興味が持てます。
以前に、癌細胞は健康な細胞の「先祖帰り」という話をしました。癌細胞は有酸素呼吸でも無酸素呼吸でも生きていくことのできる細胞です。生物学的な言い方をすれば「好気性」であり「嫌気性」である二面性を持っています。
正常な健康な細胞は、「好気性」であり酸素が必要な生命体です。この健康な細胞が癌化すると、「嫌気性」という酸素を必要としない能力を獲得するのです。つまり酸素ではなく鉄イオンを呼吸の主役(鉄呼吸)として生命活動を維持できるのです。
鉄呼吸の生命体として有名なのが鉄細菌です。鉄細菌は、とても原始的な生命体ですが、太古の地球上では、鉄呼吸の生命体が主役でした。癌細胞が鉄呼吸の能力を獲得したと考えるよりも、太古の生命体に「先祖帰り」したと考える方が理に合っています。何故?先祖帰りしたかというと、末梢に存在する健康な細胞の周囲環境が酸素の少ない劣悪な環境になり、その環境に順応するために酸素に頼らない細胞へ変身、つまり「癌化」し、その結果、癌細胞になったと考えられるのです。

Plasmaozonこの「嫌気性」の側面を持った癌細胞に酸素を十分提供してやると、癌細胞にとって暮らしにくい環境になります。
もしかすると癌細胞は死滅するかも知れません。ひょっとして癌細胞から健康な細胞に戻るかも知れないのです。
その目的のために、高圧酸素療法をすすめていますが、さらに効果的にするためには、末梢組織に溶け込んだ酸素をオゾンに変換させれば良いことになります。高圧酸素療法直後に、以前から紹介しているプラズマ療法を行えば、高濃度に融けた酸素がたくさんのオゾンに変化して、癌細胞を攻撃してくれるでしょう。採血したり、その血液を再び戻したりの煩雑な作業を必要とするオリジナルのオゾン療法よりも、簡便で効果的な治療法と考えます。

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コメント

先生お聞きします
慢性前立腺炎患者にもオゾン治療は効果あります?
【回答】
本当の炎症である慢性前立腺炎なら効果がるでしょう。
オゾン療法には抗生剤と同じ効果があるからです。
しかし機能性が原因の慢性前立腺炎なら効果がないでしょう。
抗生剤が効かないからです。

投稿: 患者 | 2012/12/30 13:30

高橋先生、お忙しいところ恐縮ですが、相談にのっていただければ幸いです。47歳男性です。排尿困難で悩んでおります。近くの泌尿器科での診断は風邪薬か何か別の薬の影響で一時的に前立腺が肥大しているとのことです。触診とエコー検査で前立腺はあまり大きくないとのことで、昨年12月末から現在までハルナールを飲んでおります。休日、家でゆっくりしていると排尿は好調ですが、平日、仕事をして身体が疲れてくると、排尿困難になり、いきんでやっと出る状態です。排尿困難になると膀胱が張って、尿があまりたまってないのにトイレに行きたくなる状態です。診断では過活動膀胱で、尿は150~200ミリぐらいたまれば出せるので、あまり気にしないでくださいといわれました。排尿の調子は日々なみがあり、会社も休んだり、半日でたりと日常生活に苦労している状態です。ハルナールを二か月ぐらい飲んでおりますが、このままの治療で回復するのでしょうか。
【回答】
前立腺が大きくなくても形がイビツであると排尿障害が強く出ます。
ハルナールの効き目が感じられないのであれば、ユリーフにお薬を変更したらいかがでしょうか?
水分(お茶・コーヒーを含む)を極力控えて1日1㍑以下にして下さい。
水分を摂取すればする程、症状は悪化します。

投稿: taya | 2013/03/01 11:25

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