エストラサイト
癌情報サイトには、抗癌剤エストラサイトの記述があります。
未治療の患者さんに対するエストラサイトの治療効果は、90%近いですが、すでに色々な治療を受けた方がエストラサイトの治療を受けても、38%程度しか効果は望めません。
事実、前立腺癌の患者さんのブログを読むと、ホルモン抵抗性の前立腺癌になるとエストラサイトが効かない事例を知ることができます。
私は、このエストラサイトを前立腺癌の初期治療から使い始めます。
上記のデータの通り、セカンド治療でエストラサイトを使用しても、その効果は半分以下(42.7%)になってしまいます。つまり、前立腺癌の細胞が中途半端な抗男性ホルモン治療によって、強くなってしまうと考えられます。それを回避するために、エストラサイトのような細胞毒性を兼ね備えた抗癌剤を初期治療から使って治療するのが正しいと考えています。
エストラサイトの標準量を服用すると副作用が顕著に現れます。
初期治療でエストラサイトを投与する場合、標準量よりもはるかに少ない量で効果が出ます。私は標準量(毎日4カプセル)を患者さんの様子を見ながら、毎日1カプセル(4分の1)~2週間に1カプセル(56分の1)の極めて少ない量で治療しています。これ程少ない量でも、治療効果が得られ、副作用は十分に抑えられます。
問題なのは、すでに様々な治療を受けてしまった患者さんの場合です。手術治療・放射線治療・LH-RHアゴニスト治療を行い、効果が得られなくなってしまった患者さんの場合です。こうなると、エストラサイトの効き目も極端に下がり、治療するサイドとしては、何か新しい創意工夫を考える必要に迫られます。
エストラサイトを中心に組み合わせを考えます。
【1】他の抗癌剤との併用
エンドキサン(サイクロフォスファマイド)
古典的な抗癌剤ですが、エストラサイトとの併用で効果があったという文献があります。
タキソテール
学会の発表で多く出てくる最近流行りの抗癌剤ですが、副作用がきついのが難点です。
【2】鎮痛剤
セレコックス
整形外科で使用される一般的な痛み止めですが、抗癌効果を持っています。
【3】ステロイド剤
免疫抑制剤であるステロイド剤が、癌の化学療法に利用されています。作用機序は不明ですが、癌細胞の抵抗力を抑えてくれるのかも知れません。
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コメント
先生のブログに何時も勇気をもらっております。先にも2,3度コメント差し上げたことがあります(治療前PSA=12.4、GS=8)。治療初期にはゾラデックス皮下注射+エストラサイト併用でしたが、半年ほど前からエストラサイト(3日毎に1カプセル)の服用のみでPSA監視をしております。この半年間におけるPSA推移は0.06→0.04→0.03と安定しております。エストラサイトは女性ホルモン(エストラジオール)をベースにした抗ガン剤ですが、ゾラデックスと同等にテストステロン産生を効果的に抑制すると理解しています。であるならば、やがては癌細胞が去勢抵抗性となり、再燃することを覚悟しておいたほうがよいのでしょうか?
【回答】
ゾラテックスは抗男性ホルモン作用ですが、エストラサイトは女性ホルモン+抗癌剤の2つの攻撃で、癌細胞自体にテストステロンを作る(去勢抵抗性)ような余裕を与えず、癌細胞を死滅させる目的です。
したがって、漫然とゾラテックスを注射するよりも去勢抵抗性の発現率が低下すると考えています。
また、悪性度が増すのを抑えるために、ビタミンD3の服用も有効と考えます。
投稿: moto | 2013/05/11 21:38
公務ご多用にもかかわりませず、早速のご回答、ありがとうございました。低用量エストラサイト服用の優位性良く理解できました。ますます、この方向で治療を継続する勇気が湧いてきました!。ビタミンD3についっては癌宣告を受けた時から欠かさず1000IU/dayを服用し、エストラサイトを服用しない日には必ずイソフラボン(60mg)のサプリメント服用、さらに豆乳ヨーグルトと抗酸化性の期待できる野菜ジュースを毎朝摂るよう心掛け、癌との共生に望みをつなげております。何時も簡潔かつ的確のコメントを頂き心より御礼申し上げます。
投稿: moto | 2013/05/12 21:21
その後の経過をご報告申し上げます。ゾラデックスを止め、エストラサイトのみを3日に1カプセル服用を始めて1年4カ月が経ちました。先の報告(2013/5/12)ではPSA0.03まで低下しておりました。現在は0.01以下(タンデム法の検出限界以下)となり、順調に推移しています。今後、5日に1カプセルに変更しようかとも思っていますが、今しばらくは、このままの服用(1カプセル/3日)を続け、ナイトロジェンマスタード細胞毒効果に期待するのも一策ではないかとも考えています。先生の御意見を御伺頂ければ幸いです。公務ご多用の先生ですので、お時間の許す時にでもお答えいただければ結構です。
【回答】
前立腺癌細胞は、45日周期に1回細胞分裂をするというデータがあります。
全ての癌細胞が同時に細胞分裂を起こしている訳ではないでしょうが、45日に1回抗癌剤を服用しても癌細胞は増えないだろうと考えるようになりました。
したがって、3日に1回の抗癌剤の服用は多過ぎるのではないか?と思います。
1週間~2週間に1回の服用ではどうでしょうか?
投稿: moto | 2014/01/07 22:09
ご丁寧且つとても興味深いコメントを頂き、心を強くしております。45日周期での細胞分裂データ、とても興味深いものです! 実は、本日(1月23日)、PSAの最新値が分かりました。やはり、0.01以下と、安定しています。担当医には、2月から1カプセル/5日で様子を見たいとお伝えし、了解を得たところです。半年ほど様子を見た上で、安定していれば、1~2週間に1回服用へと挑戦してみたく思います。
貴重なる御意見を御伺いすることができ、心より感謝申し上げます。公務ご多用のことでしょう。御自愛ください。
投稿: moto | 2014/01/23 14:22
1月23日に当ブログに投稿後、1カプセル/5日で様子を見ているところです。4月中下旬に採血と診断の予定です。
私事ですが、5月初め頃、世田谷区岡本に転居を予定し、準備を始めつつあります。つきましては、転居後は、高橋先生に診察をお引き受け頂きたく、お願い申しあげます。その際には、私なりに記録を続けてまいりました、治療内容、PSA推移データおよび現在の病院から受け取った生検データのコピー(GS=8)を持参したく思います。どうか宜しくご高配ください。
【回答】
はい。
投稿: moto | 2014/03/27 12:51
早速の御快諾ありがとうございました。安心して東京に転居することができます。4月後半の診断でPSA値が安定に推移しているようでしたら、高橋クリニックでの初診を3ヶ月後の7月中旬頃に予定したく思います。どうか宜しくお願いいたします。
投稿: moto | 2014/04/01 20:32