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Gleasonスコア【7】の前立腺癌患者さん

Pca26150m68gleason760代の患者さんです。
PSA値が60以上を理由に、大きな病院で前立腺針生検を実施したところ、前立腺癌が見つかりました。Gleason(グレソンあるいはグリーソン)スコアが【7】と診断され、骨転移は認められなかったので放射線治療をすることになりました。

Gleason患者さんは理系の仕事をされている方です。
Gleasonスコア【7】と診断されても、今ひとつピンと来ません。主治医も病理所見に関して説明がないので、インターネットで私を見つけ、組織スライドを持参・来院されました。
Gleasonスコアは、まずは前立腺組織全体の構造を見ます。正常の構造からかけ離れるほど、悪性度が増すことになります。正常の前立腺構造は腺組織であるため大きな腺腔(ルーメン)構造が均一に観察できます。癌化すると大きな腺腔構造が小さくなり、大きさが不揃いになり、最終的には腺腔構造が消失します。

この観点から患者さんの組織スライドを観察すると、腺腔構造が小さく不揃いで、中には腺腔構造が消失していると思われる場所もあります。それから考えると、この写真はGleason分類で【4】です。
他の部分では、腺腔構造が大きくハッキリしたものも確認できたので(Gleason【3】)、Gleasonスコアは、【4】+【3】=【7】と判定できます。

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大豆イソフラボンと前立腺とPSA

私は、動脈硬化に興味があり研究していたので、サプリメントとしての大豆イソフラボンにとても興味を持っています。

Isoflavonestrogenご存知の方も多いかも知れませんが、大豆イソフラボンは、構造式が女性ホルモンであるエストロゲンに似ています。そのため、「植物性女性ホルモン」とまでいわれています。人体の女性ホルモンほど強くはなく、それでいて適度に効果があるので、更年期のご婦人に服用していただくと、更年期障害の様々な不定愁訴や自律神経症状が驚くほど改善し、コレステロールは下がり、動脈硬化が改善されるのです。
健康な男性でも、エストロゲンという女性ホルモンが副腎から一定量分泌されています。意味なく分泌されている訳ではなく、男性にも女性ホルモンが必要なのでしょう。動脈硬化防止に役立っていると私は考えています。

さて、男性には前立腺癌の潜伏癌が一定の確率で存在します。40代で6%、50代で12%、60代で21%、70代で34%、80代で50%と、とても高率です。しかし、前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA検査の異常値によっては、これほどの高率に前立腺癌を発見することはできません。なぜなら、PSA検査は早期の前立腺癌で高い値になるよりは、排尿障害で高くなることが、はるかに多いからです。

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