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臨床的に「意義のない癌」と「意義のある癌」

Pcaclinicallyunimportant前立腺癌の予後の目安として、次のように分類できます。
前立腺全摘手術を実施した前立腺組織検査結果から見た分類です。
1.臨床的に意義のない癌
悪性度が中等度以下(グレソン分類6以下)で、前立腺被膜(境界線)を越えていなくて、癌細胞容積が0.5cc以下の前立腺癌を指します。
右のグラフで分かるように100%の非再発率です。
2.臨床的に意義のある癌で治癒可能な癌
悪性度に関係なく、前立腺被膜(境界線)を超えていなくて、癌細胞容積の制限なしを指します。
臨床的に一番多いケースでしょう。5年非再発率は89%です。
3.臨床的に意義のある癌で治癒困難な癌
悪性度が高く(グレソン分類7以上)、前立腺被膜(境界線)を越えている癌を指します。
臨床的に一番残念なケースです。5年非再発率は32%です。

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前立腺針生検

Lectureevidencepca31前立腺癌検診でPSA値が高いと、常識的に前立腺針生検になります。そして、前立腺癌細胞が発見されると前立腺癌の治療が始まる訳です。診察・検査・治療のこの流れは、常識的で全く非の打ちどころがありません。・・・ただし、前立腺針生検が無害に限りです。針生検は私が研修医になる以前(30年以上も前)から存在する検査法で、前立腺癌の予後には全く影響がないとされている検査法です。私も大学病院や関連病院に在籍した頃には、たくさんの針生検を行っていました。同じ医局の他の先生よりも上手だったことを覚えています。

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PSA検査の意義

今まで、このブログの中で前立腺癌とPSA値の関係を述べてきました。
PSA値が高いために実施された無謀な前立腺針生検の実態を解説してきたつもりです。
では、PSA検査に全く意義がないのでしょうか?私は次のように考えています。

PSA値は、その発生由来から、前立腺の組織構造の乱れを反映しています。ですから、組織構造が乱れている、あるいは破壊されている場合に限り、PSA値は高くなるのです。
前立腺組織構造の乱れの原因には次の3つがあります。
1.前立腺癌
2.前立腺の炎症
3.前立腺肥大症や膀胱頚部硬化症などの排尿障害

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