« 早期前立腺癌統計のデータ解釈 #3 | トップページ | 前立腺重量と潜伏癌(ラテント癌) »

グリソン・スコアとPSA-density

GspsadensityTTMed-Urologyという泌尿器科医向けのインターネットサービスで定期的にup-to-dateの情報が数々送られてきます。
その中に興味ある文献があったので、右にご紹介します。

グリソン・スコアは前立腺癌の悪性度を示す指標です。この指標が臨床経過と相関するので泌尿器科医は重宝しています。ただし、一つの指標だけで、前立腺癌の性格をすべて表現できないことは想像できます。


PSA-densityとは、前立腺単位容積当たりのPSA値濃度を意味します。
例えば、前立腺の大きさが20ccでPSA値が4ng/mLであった場合、PSA-densityは、4÷20=0.2ng/mL/cm3になります。
前立腺の大きさが40ccでPSA値が7ng/mLであった場合、PSA-densityは、7÷40=0.175ng/mL/cm3になります。
PSAの絶対値だけをみれば、明らかに7>4です。前立腺の大きさ40ccの患者さんの方が前立腺癌を疑われます。しかし、PSA-densityから考えると、0.2>0.175ng/mL/cm3ということになり」、20ccの前立腺の患者さんの方が実質PSAが高く前立腺癌の可能性が高いことになります。

この文献では、【PSA-density高くなればグリソン・スコアの値も高くなる】という可能性が示唆されたことになります。つまり、PSA-densityの結果によって、前立腺針生検を実施しなくても、前立腺癌の悪性度(ゲレソン・スコア)を予測可能?だということになるのです。リ
もしそうであれば、手術前検査である針生検によって癌細胞を前立腺の外に「ばらまく」リスクもなくなり、完璧な前立腺手術が実現できるかも知れません。(あとは、手術による弊害が死亡率を上げないことを祈るばかりですが・・・)

さらに、この文献ではPSA-densityのカット・オフ値を0.23ng/mL/cm3とし、0.23以下であれば、正常?と考えているのでしょう。
この値からすれば、前立腺20ccの場合PSA値4.6以下、30ccの場合PSA値6.9以下、40ccの場合PSA値9.2以下がいづれもOKと判断されることになります。(ただし、前立腺容積が大きくなればなるほどラテント癌の存在の可能性が高くなるので、前立腺容積とPSA-densityとの関係は手放しで賛成できません。この文献の筆者は、ラテント癌をまったく無視して理論展開している可能性があります。このことについては、後日解説します。)

|

« 早期前立腺癌統計のデータ解釈 #3 | トップページ | 前立腺重量と潜伏癌(ラテント癌) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: グリソン・スコアとPSA-density:

« 早期前立腺癌統計のデータ解釈 #3 | トップページ | 前立腺重量と潜伏癌(ラテント癌) »