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前立腺潜伏癌(ラテント癌)の悪性度

Ratentpcadifferこの表は、ラテント癌の悪性度を集計したものです。
ラテント癌のうち70%以上は高分化型(グリソン悪性度で1か2)です。ですから、80歳以上の高齢者の50%にラテント癌が存在しますが、そのうち70%、つまり80歳以上の35%には高分化型のラテント癌が存在していて、治療の必要のない可能性がある訳です。

以前は、前立腺癌を大雑把にwell(高分化型)、moderately(中等度分化型)、poorly(低分化型・未分化型)と分類していました。現在臨床で多用されているグリソン・スコアの悪性度分類の方が、臨床経過と密接な関係があるので、臨床医には都合が良く思えます。

しかし、病理の先生にグリソン・スコアも併記して下さいと言わないと、well・mode・poor分類だけになてしまいます。グリソン悪性度5分類とwell~poor3分類の関係は、多少の主観が入るでしょうが、おおむね下記のように考えます。
well: グリソン悪性度1
moderately: グリソン悪性度2と3
poorly: グリソン悪性度4と5

上の表をグリソン・スコアGSで読み替えてみましょう。
well 44例:GS・2(1+1)~GS・3(1+2)
poor 3例:GS・9(4+5)~GS・10(5+5)
well&mod 1例:GS・4(1+3)
well&poor 8例:GS・5(1+4)~GS・6(1+5)
mod&poor 1例:GS・7(3+4)~GS・8(3+5)
well&mod&poor 5例:GS・7(3+4)~GS・8(3+5)

グリソン・スコアGS・4以下が45例72.5%(45÷62)
グリソン・スコアGS・5~GS・6が8例13%
グリソン・スコアGS・8以上が9例14.5%
このような結果になります。

Ratentpcacover【参考文献】
最近の日本の前立腺潜伏癌(ラテント癌)の臨床病理学的検討
和田鉄郎 著
1987年日本泌尿器科学会誌

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