前立腺の大きさに関連した問題
これを書いている57歳の排尿障害のない私は、前立腺の大きさは20ccを切っている大きさです。
前立腺肥大症で来院する患者さんの多くが、元々排尿障害が潜在していた方です。診察の際にお聞きすると、若いころから頻尿であったと言うのです。つまり前立腺が大きくなるためには、排尿障害が必要条件であろうと推察できます。
泌尿器科の常識として、前立腺の大きさは20cc~25ccが正常範囲といいますが、現実にはこれは少し大きいように思えます。正常は、おそらく20cc以下です。
前立腺癌のブログで解説したように、前立腺が大きくなるに従い前立腺癌の存在確率は増えてきます。これは、前立腺肥大症が癌に成るのではなく、前立腺肥大症が癌の発生の「場」を提供しているものと考えています。
ですから、前立腺癌を回避するためには、前立腺肥大症を小さくさせる必要があるのです。
抗男性ホルモン剤(プロスタールやアボルブなど)で前立腺組織を委縮させれば、前立腺は小さくなります。ではどのくらいの大きさを目標に治療を進めれば良いのでしょうか。
右のグラフのように、前立腺大きさは15cc~20ccの間でとどまろうとしているイメージがあります。20ccを超えると、さらに大きくなろうとする傾向が強く、15ccより小さいと、しばらくそのまま大きさを変えないような傾向、つまり慣性の法則が成り立つのです。
ですから、目標は20cc以下できれば15ccを目安に抗男性ホルモン剤を使用するのが最適でしょう。そして目標に達したら、抗男性ホルモン剤を休止して、経過をみるのです。
グラフの中の車輪と矢印は、排尿障害が前立腺を大きくすることを示しています。α-ブロッカーでこの逆の方向にすることはできませんが、ブレーキをかけることはできます。しかし完全ではありません。
慢性前立腺炎症状の患者さんをα-ブロッカー単独で治療しましたが、前立腺の大きさは11カ月で11ccから17ccへと大きくなりました。要するにα-ブロッカー単独では前立腺が大きくなることを抑制することはできない可能性がある訳です。
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