前立腺癌の「場」としての前立腺肥大症
一般的に前立腺肥大症と前立腺癌は無関係とされています。それは泌尿器科医の常識です。
しかし、上のグラフをジッと見つめてみて、『本当かな?』と感じませんか?泌尿器科専門医である私でも『?』と感じます。
前立腺肥大症と前立腺癌は直接は関係ないにしろ、何らかの微妙な関係が存在するのではないでしょうか。私は、前立腺肥大症は前立腺癌の「場」を提供しているのであろうと思います。
そこで私はPSAが高く前立腺癌を疑われる患者さんに遭遇した際、PSAが高くなる理由を説明し、前立腺肥大症が存在するのならば、早速前立腺肥大症の治療を開始します。
ここ20年の前立腺肥大症の治療はハルナールを代表とするα-ブロッカーですが、このα-ブロッカーは前立腺肥大症の排尿障害の改善剤であって、前立腺肥大症そのものを治す薬ではありません。
そのためα-ブロッカーとともに前立腺肥大症を小さくする薬剤(抗男性ホルモン剤)であるプロスタールやアボルブを処方して前立腺を小さくする治療を行います。前立腺癌にとって必要な「場」としての前立腺肥大症を小さくすることで、前立腺癌が存在しえない環境を作るのです。私の経験では、100ccのとても大きな前立腺肥大症の患者さんが、抗男性ホルモン治療を続け、半年で33ccにまで小さくなりました。
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コメント
いつも貴重な情報を有難う御座います。またPSA高値に悩んでいる人に対して、本当に励みになる見解を披露して頂き、感謝しております。
さて、私も、前立腺癌の疑い有りと言われて主治医(内科)から再三、生検を勧められましたが、あまりの大げささに、ずっと躊躇してきました。
それから必死で医者探しが始まったのですが、やっと出会えた先生は、これまで100人近くの患者を切らずに処置してこられたその道のプロでした。しかし公然と切らなくて良いと主張するため、周りの反発を買い、大学を追い出されたとおっしゃっていました。
さて、その先生の処方が正に高橋先生の処方と同じだったことに驚かされました。僅か1ヶ月半でPSAは50分の1まで下がりました。
もともとの主治医にその報告をしました。喜んで頂けると思っておりましたが、信じてくれません。あげくの果てに、最近の前立腺肥大薬はPSAを下げるから、ちゃんと生検しなければ駄目と言われました。
その後、服薬を止めてから1ヶ月以上が経過しましたが、PSAは安定して低位にいます。
さて、そのベテランの先生に生検のことをお聞きしました。何本も針を刺すなど邪道である。どうしても生検するなら会陰部から1本だけ刺せば十分とのことでした。これも高橋先生の主張と合うもので、改めて医者選びの大切さを知りました。
これからも新着記事を楽しみにしております。
【回答】
貴重なご意見ありがとうございます。
投稿: MM | 2010/03/02 13:36
ご意見を伺いたく投稿いたします。
64歳男性でPSA:12.8で針生検を勧められ検査を受けました。
結果10本中1本に片葉のみグリソンスコアー3+3で2mmの悪性腫瘍が認められました。
骨シンチ、CTとも骨盤の一箇所に小さい転移あり。
PSAとグリソンスコアーそれほど高くないのに骨転移?医師も決めかねて放射線課にて転移箇所の骨組織を針で取る検査をすると言われておりますがリスク対効果を考え検査をして良いかどうか悩んでおります。
ご意見を伺えれば幸いです。
もう少し早くこの場所にたどり着いていたらと残念に思います。
【回答】
前立腺癌のホルモン治療を始めて、転移の疑い部分が消滅したら、転移だったと診断できるのではないでしょうか?
投稿: haru | 2013/02/22 20:27