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早期前立腺癌統計のデータ解釈 #3

Monographpca8このグラフは前立腺手術で摘出され前立腺に含まれた癌組織の体積を年代別に比較したものです。
近年、グラフで示すように「臨床的に意義のない前立腺癌」が増えています。要するに手術をしなくてもよかった患者さんが増加しているのです。グラフで見ると、前立腺手術を実施された20%以上の患者さんが、実は手術が無意味であった可能性があるのです。
癌なのに『臨床的に意義がない?』と、『???』に思われる方も多いと思います。つまり、手術しなくても、その患者さんにとっては生命をまったく脅かさないであろう前立腺癌の一群を意味します。
具体的には、病理進行度がT1で、前立腺癌組織の全ての体積が0.5cc以下で、組織悪性度がグレソン・スコア5以下の癌を指します。
これらの基準を満たしている癌は、2倍の大きさになるまで10年~20年の期間が必要で、場合によっては発見されてからその患者さんの本来の寿命までの期間よりも長くなることがあります。

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前立腺癌の進行度分類

Tnmpca前立腺癌の臨床病理学的分類は以前からWhitmore-JewettのABCD分類システムが存在しました。
しかし1997年からは、臨床現場でそれまでなかったPSA検査や超音波エコー検査が登場し、それら検査を考慮したTNM分類が採用されつつあります。


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早期前立腺癌統計のデータ解釈 #2

Monographpca4【1】T1(a・b・c)は癌が前立腺内に限局していて、直腸触診で触れることのできない前立腺癌を意味します。
T1の状態で前立腺手術を受けた場合、566人(53人+35人+478人)中ほとんどの方(85%以上=480人)が再発がないことを示したグラフです。


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早期前立腺癌統計のデータ解釈 #1

Monographpca「早期前立腺癌モノグラフ」という専門書を読んでいて、データをいろいろ解釈できることが分かりました。
【1】右のグラフは、早期の前立腺癌と診断されて、前立腺全摘出術(根治手術)を受けたグループと、手術を行わないで保存的治療(ホルモン治療など)を受けたグループに分け、その前立腺癌鑿の死亡率を8年間追跡比較したものです。
5年で2.5%、8年で5%の有為の差が認められます。

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前立腺癌の「場」としての前立腺肥大症

Bphpca私が研修医の頃(今から30年前)、平均寿命に達した男性の20%が前立腺肥大症になり、80%のほとんどの方の前立腺は委縮(小さく)していました。
ところが最近では、80歳までに80%の男性が前立腺肥大症になるといいます。
それを示したのが右のグラフです。青のグラフが前立腺肥大症、赤のグラフが前立腺の委縮を示します。

ここで気がつくことがあります。前立腺癌患者さんの罹患実数を示した緑のグラフと並べて比較すると面白いことが分かります。
前立腺肥大症の増加のグラフと前立腺癌の増加のグラフが酷似していませんか?つまり前立腺肥大症が増えると前立腺癌が増えるように見えるのです。

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