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PSA検査結果が高く、前立腺癌を疑われた患者さんへ

健康診断や人間ドックでPSA検査の異常を指摘され、心配になって来院される患者さんが多い昨今です。
そのような患者さんのために、下記のような文面を作成しお渡ししています。

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PSA検査はご存知のように、前立腺癌の腫瘍マーカー検査です。
PSAは前立腺液に含まれる成分で、実は前立腺癌特有の成分ではありません。PSAが高くなる病態としては、排尿障害(尿が出にくい前立腺肥大症・膀胱頚部硬化症など)や炎症(急性前立腺炎・慢性前立腺炎)や前立腺癌が挙げられます。ですから、前立腺癌はPSAが高くなる3つの原因のうちの1つでしかありません。
さらに、PSA検査で高くなる一番の原因は、自覚・無自覚にかかわらず前立腺肥大症や膀胱頚部硬化症などの排尿障害(尿が出にくい)です。

文献によると、わたしたち男性はかなり高い確率で前立腺癌を持っています。それを前立腺潜伏癌(ラテント癌)といいます。悪性度とは無関係にその確率(潜伏率)は次の通りです。

50歳代:12%以上
60歳代:20%以上
70歳代:30%以上
80歳代:50%以上

しかし、腫瘍マーカーであるPSA検査であっても単独では、このような高い確率で異常値は出すことができません。人間ドック・健診でPSAが異常値になる確率は文献的に7%です。さらに前立腺癌が発見される可能性は1%以下です。現実には潜伏癌のほとんどが発見されていないことになります。したがってPSAが高くなる原因は、初期の前立腺癌ではなく、ほとんどの場合、前立腺肥大症などの排尿障害が原因で高くなると考えられます。前立腺針生検で癌が見つかるのは、潜伏癌の潜伏率の高さから考えて偶然の結果でしょう。ところが針生検で癌を確認された患者さん『だけ』が、「前立腺癌」と診断され、そのうち35%以上の方(3人に1人)が前立腺癌で命を落としている皮肉な現実があります。

また、前立腺が大きくなると必然的にPSA値は高くなります。
PSA値が4.0以上になる前立腺の大きさは、欧米人で55cc以上から、日本人で44cc以上からと文献的に証明されています。日本人はPSA値が高くなりやすいのです。前立腺肥大症の大きさ50ccでPSA値が5.0だから前立腺癌を疑うのはナンセンスです。

原因はともかくPSAが高く、前立腺針生検により前立腺癌が発見されると、破壊検査である針生検そのものによって『眠っていた無害』の前立腺癌が目を覚まし、悪性度が一気に増し全身に転移してしまうのだと私は信じています。(PSA検査やMRI検査・骨シンチは非破壊検査であるから癌に影響はないと考える)

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極論すれば、前立腺癌発見の功績はともかく、前立腺癌の5年生存率が65%を切っているのは、手軽にできる、外来で可能な検査、針生検が怪しいと私は考えています。

ですからPSAが高くても、私は前立腺針生検を行わずに前立腺肥大症の治療(弱いホルモン治療)を行い、前立腺癌がなるべく『目を覚まさない』ように、そして着実にゆっくりと消滅させる治療法を模索しています。
この考えや治療法は私独自のアイデアですから、本当に正しいのか否か分かりません。現在の泌尿器科医の中では私の考えは非常識であり一般的ではありません。

この考えや治療法を私は患者さんに強制するものではありません。信じていただけた患者さんだけが治療をお受けください。

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PSAが高くなる理由

Psamechaみなさんが興味あるPSAが血液検査で高くなる理由があります。
教科書的には、右のイラストのように、前立腺癌の腺腔構造において基底細胞・基底膜が脆弱な(不完全でもろい)ため、腺腔内に貯留しているPSAが周囲の毛細血管に漏出し、血液中にPSAが高濃度に流れるとされています。
この理論は明瞭で一見正しいように錯覚します。

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PSA高値の場合の治療方針

前回のテーマでPSAと前立腺癌の関係をかなり詳細に論じました。

では、健康診断や人間ドックでPSAが高いと診断された場合に、どのような手順を踏んで診断・治療?をすればよいのか考えてみましょう。

Lectureevidencepca273d前回解説したように、前立腺肥大症の増加が前立腺癌の増加を後押ししているように思えてなりません。
このグラフは前立腺肥大症の平均寿命時の割合%と前立腺癌実数を示したもので、科学的な表現としては「如何なものかな?」という評価でしょうが、だいたいのイメージは把握できるでしょう。

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