前立腺肥大症の新しい治療薬
前立腺肥大症の新しい治療薬で「アボルブ」という商品名の新薬が8月から9月にかけて登場します。
この薬は5α還元酵素阻害剤で、男性ホルモンのテストステロンがDHT(ジヒドロ・テストステロン)に変化するのを抑えます。前立腺はDHTに依存していますから、DHTの濃度が少なければ、前立腺は委縮します。
5α還元酵素阻害剤で有名なのは「プロペシア」という育毛剤です。慢性前立腺炎に詳しい方ならば、一時期プロペシアが慢性前立腺炎に効果があるという情報が氾濫したのをご存じでしょう。
しかし、その後、鳴かず飛ばずでした。前立腺が委縮して小さくなるような薬でさえ、慢性前立腺炎を効果的に治すことができなかったのです。「慢性炎症」の場をなくすような治療でさえ、慢性前立腺炎症状を治せなかった事実から、慢性前立腺炎の本質が見えてくるでしょう。
このアボルブもDHTの産生を抑えます・
右のグラフに示すように、服用後、たった2週間でDHT濃度は本来の10%近くまで低下するのです。
DHTを抑えることで、前立腺の大きさの縮小率は、半年で25%(元の大きさの75%)、1年で33%(元の大きさの67%)も小さくなります。
もしも、慢性前立腺炎が、本当に前立腺そのものに依存しているのならば、炎症の場の前立腺組織が委縮と縮小は、症状の改善につながる筈です。本当の慢性前立腺炎の患者さんには朗報かも知れません。
男性ホルモンを抑える薬の副作用で問題になるのが、ED、性欲減退、女性化乳房です。
しかし、このアボルブは、男性ホルモンそのものを抑えるのではなく、DHTを抑えるので、従来の抗男性ホルモン剤に比較して副作用が低いのが特徴です。
DHTが低下することで、なぜ前立腺組織が委縮するのかを解説しましょう。右のイラストをご覧下さい。
テストステロン(男性ホルモン)から変化したDHTは、前立腺の腺細胞や間質細胞に取り込まれ、細胞内の核を刺激します。(イラストでは、テストステロンが直接作用しているように示されていますが・・・) 刺激された核内のDNAは、細胞をコントロールし、成長と増殖を促します。そして生殖に必要な前立腺液をたっぷりと作るのです。
ところが、DHTが欠乏すると、腺細胞も間質細胞も正常にコントロールできなくなり、ついには細胞が死んでしまいます。
死んだ細胞が多いと、吸収されて前立腺全体のボリュームが減少するので、前立腺は委縮します。そして、生殖に必要な前立腺液は少なくなります。
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コメント
アボルブと言う薬に非常に興味があります。
質問1
これは海外でAVODART(dutasteride)の名前で売られているものと同じと考えてよろしいでしょうか。
【回答】
はい。
質問2
現在、病院では2週間分しか処方してもらえないと言うことを聞きました。しかし、海外オンラインショップではジェネリックも有り、90日分まで処方してくれるとのこと。これを個人用途で輸入することには、問題無いでしょうか。
【回答】
ご指摘のジェネリックの品質が分かりませんから、お答えできません。
以上、ご教示願えれば幸いです。
投稿: | 2010/01/25 15:40
サプリメントですので効能をはっきりうたう事が出来ないようですが、暗に前立腺肥大症や頻尿に効きそうだと思わせるノコギリヤシ関係のサプリメントが結構一流の薬メーカーも販売しています。愛好者も多いのかドラッグストアーでの人気商品のようです。
先生はノコギリヤシサプリメントの効果についてはどのような見解をお持ちでしょうか。
最近夜に2,3回トイレに起きるようになったので実験してみようかと思います。
【回答】
α‐ブロッカー(エブランチル・ハルナール・ユリーフ・フリバスなど)と同じような作用があるのでしょう。
しかし、薬剤よりは効果は弱いと考えます。
投稿: 今野 | 2011/05/26 21:52
高橋先生、はじめまして。
昨年夏の人間ドックでPSA10.1と出たため、2泊3日で8ヶ所針生検を受けましたが、結果はシロでした。以後、生検の病院を紹介してくれた泌尿器クリニックに月一回通院し、アボルブを30日分処方され、3ヶ月に一度尿流測定と残尿エコー、および採血をされています。昨年12月にはPSAが7.0になりました。来月に測定、採血があります。診断は前立腺肥大です。このサイクルで治療を受けていて、支障はないでしょうか。
【回答】
尿流量測定検査で排尿障害があるのであれば、アボルブにα‐ブロッカー(エブランチル・ハルナール・ユリーフ・フリバスなど)を併用すれば、PSAはもっと下がります。
前立腺肥大症がかなり大きいのであれば、アボルブよりもプロスタールの方が効果的です。
投稿: | 2012/02/29 00:53