前立腺癌の分類 グリソン分類
前立腺ガンの分類はいくつか存在します。
細胞の悪性度を観察して、高分化型、中等度分化型、低分化型の3タイプに分ける方法が昔からありました。
しかし、必ずしも臨床の悪性度と一致するわけではなかったので、今回紹介するグリソンGleason分類が一般的です。
前立腺ガンの疑いがある患者さんは、来院した時点ではガンの浸潤も転移も分かりません。しかし、前立腺針生検で、それが予測できれば治療に多大に貢献してくれます。それが、グリソン・スコアです。
まず採取した前立腺組織の細胞の悪性度と組織の異常さから、次の5つに分類します。
【グリソンgrade1】ガン細胞を認めるが、前立腺本来の姿に近い組織構造をしている(図の①とB)
【グリソンgrade2】上記とほとんど同じだが、腺構造(腺房)が不均一である(図の②とC)
【グリソンgrade3】腺房が変形し、腺構造のガン細胞の層が厚くなっている(図の③とD)
【グリソンgrade4】腺房の変形が進み、ふるい(篩)構造に見える(図の④とE)
【グリソンgrade5】腺房構造が消失し、全面ガン細胞だけである(図の⑤とF)
針生検で採取した前立腺組織を観察し、このグリソンgradeで分類します。しかし、組織の中は一つのGradeで均一とは限りません。そこで、一番多いGradeと2番目に多いGradeとを併記し、そのGradeを加算してグリソン・スコアとします。
例えば、組織の検査したら、どこを見てもグリソンgrade2しか観察できなければ、【2+2=4】となり、グリソン・スコア4点になります。
例えば、一番多いのがグリソンgrade2でしたが、2番目に多かったのがグリソンgrade4だとすれば、【2+4=6】となり、グリソン・スコア6点になります。グレソン・スコア4点と6点とでは、グリソン・スコア6点の患者さんの方が、臨床上悪性度が高い(予後が悪い)と予測します・
この算出法では、スコアは最低で2点から最高点10点で分類できます。このスコアと臨床経過の予後が一致傾向にあるので、臨床に多く使用されています。
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