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陰嚢の痒みと前立腺肥大症 「陰嚢掻痒症」

臨床の現場では、時に原因が分からない病気に遭遇することがあります。
その例として、陰嚢掻痒症(いんのうそうようしょう)があります。別名、陰部掻痒症・陰門掻痒症です。女性の場合もあります。何しろ男女の区別なく、ハッキリした皮膚に所見もなく、外性器・肛門が痒くなる病気です。皮膚の所見は掻きこわしの所見だけです。
皮膚科は視診がとても重要です。皮膚にできた皮疹・湿疹・丘疹・発疹などを観察して、病気を診断するのです。なのに、皮膚が全く正常で、それでいて異常にかゆいのです。これでは皮膚科医も困るでしょう。原因が分からないので、取り合えず対症療法として痒み止めの軟膏や抗ヒスタミン剤を処方しますが難治性で再発を繰返すようです。
さて、ある時、皮膚科の病気に関して調べ物をしていたら、たまたま陰嚢掻痒症なる言葉を見つけ、詳細に読むと原因が前立腺肥大症・尿道狭窄となっているではありませんか!一般的な泌尿器科医にはこのような知識はありません。(私だけがないのか?・・・少し心配になりますが・・・)
皮膚科の先生は、恐らく前立腺肥大症のような排尿障害は尿の切れが悪く、陰嚢に尿が付着してかゆくなるのだろう思っているのではないでしょうか。しかしこれは誤解でしょう。なぜなら、陰嚢が尿でかぶれて痒みが生じるのであれば、赤ちゃんのオムツかぶれのように陰嚢皮膚が赤くただれていなければなりません。ところが陰嚢掻痒症の場合、ほとんど方が原因不明とされるように陰嚢皮膚は正常です。
220_1では、なぜ痒くなるのでしょう。その原因を考えるのに関連痛という生理学的生体反応を知ると容易に理解できます。
生理学では、痒み=微細な痛み感覚として考えます。ですから陰嚢のかゆみ=陰嚢の痛みとして理解できます。もう少し正確に表現すれば、陰嚢の皮膚のかゆみ=陰嚢の皮膚の微細な痛みということになります。すでに説明したように、関連痛は現在痛みのある場所・部分とは異なる、離れた他の臓器・器官の刺激が、投影されて感じる痛みのことを指しています。しかし、そこには一定の法則があります。関連痛を感じている皮膚と同じ脊髄中枢の位置でコントロールされている臓器・器官の病的刺激の投影であるということです。
陰嚢の皮膚を支配している脊髄中枢は脊髄仙骨部2番~4番です。脊髄仙骨部2番~4番中枢で支配されている臓器は、膀胱・前立腺・尿道・直腸・子宮頚部(女性のみ)です。ですから、膀胱・前立腺・尿道・直腸の病的刺激で陰嚢は関連痛が生じることになります。陰嚢のかゆみ(関連痛)を訴える患者さんに遭遇(診察)した場合、これらの臓器・器官の病気を選択肢として考えなければならないことになります。
中高年の男性で陰嚢の痒みを訴えて来院した場合には、皮膚の病気のことばかり考えずに、陰嚢掻痒症→排尿障害→前立腺肥大症を念頭に置かなければなりません。尿の出が悪かったり、多少頻尿があっても「年のせいだ」と軽く考え、陰嚢の痒みだけが辛いと思っているあなた、泌尿器科医を受診して前立腺を調べて下さい。必ず排尿障害があります。
19286m76scrbph【写真】の患者さんは76歳男性です。夜間2回の頻尿と陰部のしめり感を訴え、近くの病院から紹介されて来ました。ご覧のように陰嚢部の痒みで皮膚を掻き壊しています。排尿障害を改善させれば、この痒みもおさまります。

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コメント

インターネットで痒みの事で検索していたら高橋先生のプログを見て書きました。先生も書かれているように陰嚢のかゆみについてですが 8年前から腎臓結石が両方の腎臓にあるのですが因果関係は有るでしょうか?
4年前から痒みが出てきています。症状は見た目何もありません 皮膚科の先生は、過敏症かアレルギー症でしょうとの判断です。皮膚科でグリパレス軟膏と言う薬をもらっていますが効かないので困っています。よろしくお願いいたします。

【高橋クリニックからの回答】
本人が自覚していない排尿障害であっても、陰嚢掻痒症になります。
一度、排尿障害がないかどうか調べるために地元の泌尿器科医を受診して下さい。

投稿: 篤 | 2007/08/31 00:16

陰嚢掻痒症で調べこのサイトにたどり着きました。

私は愛知県在住なのですが愛知県の皮膚科・泌尿器科ではどこも陰嚢にカビ防止のクリームと痒み止めの薬しか貰えません。

本当は高橋クリニックに診察をお願いしたいのですが仕事もあり気軽に行けません。夜も陰嚢掻痒症か陰嚢湿疹で眠れず非常に悩んでおります。

この悩みを解決してくれるようなクリニックや病院を愛知県でご存知ないでしょうか?お忙しいところ不躾なお願いですがお返事いただけましたら幸いです。ありがとうございました。
【回答】
残念ながら、この考え方は私独自の考え方で、他の泌尿器科医師で賛同してくれる医師を存じません。
詳しくは、私の自書、集英社新書「本当はこわい排尿障害」に記載されています。
Amazonで購入できます。
この本を主治医に読んでもらって処方して頂いたらいかがですか?
あとは一度でも当院に来て頂ければ、その後はお薬を着払いで配送可能です。

投稿: yamato | 2019/05/15 23:57

ご丁寧にお返事ありがとうございます。なかなかお伺いできる機会がありませんが、その際は何卒よろしくお願いいたしますm(__)m

投稿: yamato | 2019/05/20 09:33

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