前立腺肥大症の内視鏡手術TUR-P
前立腺肥大症の手術で超有名なのが内視鏡手術、経尿道的前立腺切除術 Trans Urethral Resection of Prostate です。
尿道から手術器具を挿入し、電気メスで尿流の障害になる前立腺を削る手術です。外国生れのこの手術は、日本でも50年以上前から行われてり、前立腺肥大症の標準手術(ゴールデン・スタンダード)になっています。
麻酔
一般的に硬膜外麻酔・脊椎麻酔で行われます。
手術道具
【実例】 67歳男性です。
手術前の前立腺部尿道の所見です。6時の位置に精丘が確認できます。左右から前立腺が尿道を圧迫して、本来見える筈の膀胱が確認できません。2cmの完全閉塞です。慢性前立腺炎と異なり、炎症性ポリープはなく、粘膜は突っ張った感じです。
内視鏡を2cm先に進めると、膀胱出口が確認できます。直径3mmの狭い出口です。麻酔がかかっていてこの狭さですから、通常はもっと狭く排尿障害が強いことが示唆されます。6時の位置の粘膜がポリープ状に腫れていて容易に出血しそうです。この6時の位置の粘膜の張り具合が膀胱粘膜を引っ張り、常に尿意を作る原因になります。ですからこの部分を切除することで、膀胱出口(膀胱頚部)の緊張を解くことが出来ます。
膀胱粘膜に確認できる肉柱です。肉柱は排尿障害が強い時に確認できる膀胱・筋・粘膜の代償性変化です。常に膀胱がム~と力んでいると肉柱が形成されます。
TUR-P直後の所見です。術前の写真と比べると一目瞭然でしょう。精丘から膀胱が容易に観察できます。術前から比べれば排尿が楽になるでしょう。
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コメント
5年位前か前立腺肥大の診断を受けハルナールD0.2mgを飲み続けいましたが、最近尿の出が非常に悪くなり、数日前に導尿し現在バルーンを留置しています。診断の結果、来週内視鏡手術をしましょうということになっていますが、男性ホルモン治療はしたことがありません。
肥大の状況は膀胱内に飛び出し尿道を圧迫し閉塞しているとのECO診断です。サイズは聞き逃しましたが、かなり大きくなっているようです、手術後の後遺症が心配です
アドバイスをお願いします。
【回答】
抗男性ホルモン剤(アボルブ・プロスタール)で前立腺のサイズダウンを図るが賢明と考えます。
64歳です
投稿: 山田 | 2012/11/06 11:48