前立腺肥大症とは?
概念
前立腺は膀胱の直下に位置し、尿道を取り囲むようにして存在する分泌臓器です。この前立腺が加齢とともに大きくなり排尿障害を来たすのが、前立腺肥大症と呼ばれる病気です。要するに前立腺の加齢変化が排尿に影響したのがこの病気の本質です。
前立腺は前立腺液を分泌します。前立腺液は精液の3分の1を占める構成成分で、体外に射精された精子を前立腺液の緩衝成分で護り、リン酸塩で精子にエネルギーを補給しています。前立腺液の含まれていない精液は、射精後、膣内で1週間も精子を生かし続けることが出来なくなります。
前立腺肥大症では前立腺液分泌は極端に減少し、活力のない妊娠させることのない精液になってしまいます。ある意味、自然が作るパイプカットのような現象です。では、なぜこのような現象が起きるのでしょう。
私たちの食生活は戦後の国策で欧米風食生活にシフトしてしまいました。つまり高カロリー食・高タンパク食・高コレステロール食・高ビタミン食です。敗戦で徹底的に知らされた国力・体力の差は、食生活の差と受け取ってもおかしくない状況でした。ある意味正しい判断です。お陰で生産力は高まり、国民の体躯も年々右肩上がりに向上したのは周知の事実です。この食生活は、短命の国民であれば問題はありません。高い生産性で国力が上がり、短命であれば高齢者は少ないので、国民負担は軽くなります。
ところが、生活の向上とともに保険環境も向上し寿命も年々延びてきました。欧米風食生活の高カロリー食・高タンパク食・高コレステロール食・高ビタミン食は、男性ホルモンの材料です。材料が豊富であれば、高齢になっても男性ホルモンは性生活を営むに十分な値を維持することになります。高齢者がいつまでも若々しく性生活が出来るのはいいことですよね?ところが、自然の摂理はそれを許してくれないのです。
人間も含めて生き物の種の保存から考えて、多くの若いオスが多くの若いメスを妊娠させ様々なDNAを持った子孫を繁栄させるのが一番でしょう。ところが老いたオスがいつまでもセックスが可能であるとどういうことになるかお分かりですか?老いたオスは思慮深く狡猾で権力を持ち、自分の周りの若いメスを独占しようとします。すると、老いたオスのDNAだけが繁殖してまい、種の保存の観点から逸脱してしまいます。
では、どのようにすれば種の保存を護ることができるでしょうか。それは、いつまでもセックスができる老いたオスの精液の精子を亡き者にすればよいのです。それには精液中の前立腺液がなくなれば簡単です。前立腺液が出なくするのには前立腺内の分泌腺組織がなくなるように筋肉線維組織を増やしてしまえばよいのです。それが前立腺肥大症です。
まとめると下記のような構図になります。
欧米風食生活
↓
高カロリー食・高タンパク食・高コレステロール食・高ビタミン食
↓
男性ホルモンが高値
↓
前立腺内の筋肉線維組織増殖
↓
前立腺肥大症
↓
前立腺分泌腺組織の減少
↓
前立腺液の減少
↓
精子の活力低下
↓
男子不妊症
さて、前立腺肥大症の実像を映像でご覧頂きましょう。下記の写真は前立腺肥大症の67歳の男性患者さんです。夜間頻尿が4回以上で不眠症に悩まされています。
前立腺肥大症のMRI像
BPH:前立腺肥大症 bladder:膀胱 rectum:直腸 anal:肛門 pubic:恥骨 penis:陰茎 caudal:仙骨
膀胱内に前立腺肥大症が突き出ている状況がよく示されている。
上記のMRI像と同じ67歳の前立腺肥大症の患者さんの超音波エコー検査像です。大きさが40~50ccの中等度の前立腺肥大症です。
超音波検査横断面像
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