広汎子宮全摘手術の後遺症:神経因性膀胱の治療

様々な手術で、たまたま膀胱に関した神経を損傷すると「神経因性膀胱」という病態になり、自力で排尿するのが困難になります。
一般的に、神経因性膀胱は治らない病気ですから、一生、自己導尿の指導を受けます。しかし、神経因性膀胱そのものは治すことはできませんが、治療により健常者と同じように振る舞えることは可能です。
今回ご紹介する患者さんも、子宮頚癌の手術(広汎子宮全摘術)で膀胱の神経を損傷されて排尿障害を訴えた患者さんです。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

こんにちは。
11月30日に手術を受けた〇〇〇〇市の〇〇〇〇です。
経過報告を兼ねてメールさせていただきました。

その後、とても順調です!!!
2回目のカテーテルを抜いたあと3日ぐらい出血がありましたがそれ以降はなくて、おしっこは勢いよく出る時と、出にくい時がありましたが、最近になってだいぶ安定してきました。
一時かなりあった尿漏れも、今は溜まっているときにちょっと、ぐらいになり、このままいけばなくなりそうです。
おしっこはトイレに座ってから少し時間が経って出てくる感じです。「うんちをするときの感じで」という先生の言葉を思い出して、少し前傾すると出てきて、そのあとはけっこう勢いよく出る時もあります。
朝いちばんはやはりたくさん溜まっているせいか、少し出にくい感じですが、昼間調子いいときはじゃ~っと出て、これまでの人生で未体験の快感(笑)です。
おしっこが普通に出てくれるのって、本当に有難いなぁ・・・と痛感しています。

尿意も少し戻ってきたみたいです。
朝、トイレに行きたくて目が覚めるようになりました(夜中にトイレで起きることはほとんどありません)。日中は相変わらず時計を見て2時間おきぐらいにトイレに行ってますが、1時間半を超えると「溜まってきた」感があり、少し漏れやすくなります。

とにかく、日常生活で「おしっこ」のことをいつも考えている状態(考えざるを得ない状態)から解放されて幸せです!
手術前から考えると、もう本当に雲泥の差です。あの頃は、おしっこしてトイレから出てくる頃には、エネルギーを使い果たしてぐったり疲れてしまってました。
外出時のトイレでは、前傾したりあれこれやっている間にセンサーが作動し、何回も水が流れてしまい(電気が消えて真っ暗になっちゃったこともあります)、そうじゃなくてもえらい時間がかかっているので、外で待っていた人ににらまれたり、すごく長い列ができていたり・・・・そんなこんなでトイレに行くのが怖くなってました。

Nb26763f53flowじつは、手術前のウロフロメトリのときは、あの頃にしてはとても状態がよかったので、「こんなにおしっこがちゃんと出ていると、普段の状態を把握してもらえないかも・・・」と思ったのを覚えています。検査の前日から比べると、たぶん1.5倍ぐらいの勢いで、時間もかなり短めでした。結果を見た先生に「これは、かーなーりー(強調、笑)ひどいよー」と言われ、ええっ??これでもそうなんだ・・・とびっくりしました。

Nb26763f53flow2あのまま先生に出会うことなく、別の泌尿器科に行っても「これはもうしょうがないですね」とか言われて、排尿障害が進んでいってたら、と思うとぞっとします。

それから更年期の症状は大豆イソフラボンでばっちり収まってきました!
おしっこがどんどん出なくなって、頭痛・のぼせ・倦怠感・不眠etcが一挙に出てきたころが悪夢のようで、今ではたまに、あれ?ちょっとのぼせてる?と思う程度になりました。

先生には時間外に2回も処置していただき、深く感謝しています。
特に二回目は、もしかしたら落ち着いて何回かトライすれば大丈夫だったかもしれないのに、私がパニックになっちゃっていたのが原因だったような気がします。
私にとって先生は救いの神さまですが、そのせいで大切な用事をつぶしてしまい、申し訳ありませんでした。

時間外の対応を含む患者のフォローもさることながら、医学界的にコンセンサスとしては未だ認められていない手術を敢行する勇気と覚悟、無料相談を常時受け付けて情報をオープンにしてシェアする姿勢、それを何でもない事のようにこなしちゃう先生、すごいです。痺れます。

なんだかすごく長くなってしまいました。
先生のおかげで、今年は私にとってこれまでで最高の年になりました。
本当にありがとうございます。

年明けに1か月検診に伺う予定です。
ではでは、よいお年をお迎えください。

〇〇〇〇
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【考察】

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寒くなると頻尿・・・その理由

Naihaigaihai泌尿器科の外来は、寒くなると混雑します。
なぜなら、寒くなると頻尿になる方が多くなるからです。「寒くなるとオシッコが近くなる」という現象は、一般の人でも経験することです。では、なぜ寒くなるとオシッコが近くなる(頻尿)のでしょう?

では、発生学や生理学を元に医学的にその原因を考察してみましょう。

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早漏の治療薬 「デパス」

泌尿器科を専門にしている開業医ですから、「早漏」を訴えられる患者さんが年に二人~...

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器械的反復刺激性包皮裂傷・包皮炎#2

性器画象です。自己責任でご覧下さい。以前にも同じ表題のテーマで解説しています。
かなりの数の方が悩まれているようで、ご相談のメールや電話がたくさんあります。
この患者さんも同じ病気です。原因は、包皮のあまり具合と水分の摂りすぎです。包皮にスジ(線条痕)が2本不連続に走っています。この部分が切れやすく、炎症を繰り返しやすく悩まれる部分です。

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おヘソが大変!

Heso2619620代の男性が、お腹を突き出すような不自然な格好で診察室に入ってきました。
明らかに具合が悪そうです。
開口一番、「先生!おヘソが大変なことになっています!」
早速拝見すると、ご覧の写真のようです。10日くらい前から、おヘソが痛くなり、地元の病院で臍周囲炎の診断で、抗生剤の点滴・内服、おヘソの消毒・抗生剤軟膏を塗って処置されていたのですが、ドンドン悪くなり、インターネットで私のブログをヒットして、藁をもつかむ気持ちで7月5日に来院されました。

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尿道結石の嵌頓(かんとん)

Stone25963m53xp50歳代の男性が、懇意にしている医師から紹介で来院されました。
5月6日に結石が2個自然排出されました。ところが、5月8日になって尿道が痛くなり、尿がチョロチョロとしか出なくなりました。紹介医がレントゲン写真を撮影したら、亀頭の直下の尿道に大きな結石がはまっていました。

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臍(さい・へそ)周囲炎と不良肉芽(ふりょうにくげ)

Hesonikuge尿膜管遺残あるいは尿膜管残存で質問が多く舞い込んで来ます。
その多くの原因が、尿膜管遺残ではなく、臍周囲炎と不良肉芽(ふりょうにくげ)です。
この写真のおへそは、20代男性の所見です。11日前よりおへそが痛くなりました。地元の皮膚科を受診して、抗生剤と軟膏をもらいましたが改善しません。徐々に痛くなり、さらに赤いオデキが見えたので、心配になり高橋クリニックを受診しました。

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軽度尿道下裂の手術

Nyodokaretsu01尿道下裂とは、男性が胎児の頃に女性性器と同じ形から男性性器に変化する過程で、途中で変化が中止してしまった状態です。
尿道口は亀頭の先端の少し下に位置するのが正常ですが、尿道下裂の場合、尿道口が本来の位置ではなく、もっと下に開口している状態を意味します。
右図(日本小児外科学会HP参照)で示すように開口している位置により、低位・高位(下部・中部・上部あるいは後部・中部・前部)と分類します。低位尿道下裂の場合、尿道口が陰嚢近くで開口しています。その場合、乳児の頃から奇形として認識され、手術で修正されます。

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超音波エコー検査で診断できる膀胱腫瘍

Bt24462m68_33日前に血尿が出たと患者さんが来院しました。
出始めの尿に血が混じっていたというのです。
そこで超音波エコー検査したのが、この写真です。膀胱後壁に何か認められます。


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このブログのガイド

このブログは泌尿器科に関する情報を私というフィルターを通していろいろ解説していま...

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陰門掻痒症・陰嚢掻痒症・陰部掻痒症・陰裂掻痒症・肛門掻痒症・肛囲掻痒症

病名はいろいろありますが、要するに人に見せない大事なところが無性に痒い病気です。...

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メール返信できないあなたへ

高橋先生 突然のメールで恐縮ですが、私の陰茎部が添付写真のように腫れあがり、かな...

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治らない亀頭包皮炎の理由

他の医療機関で治療したが治らないと来院する若者(中には中年も)が多くいます。 病...

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両側尿管瘤 Ureterocele

以前に、「慢性前立腺炎の周辺疾患」として解説しています。重複しますが、再度ここで解説します。

6ヶ月前から、おしっこが途中で突然止まり、会陰部痛が出るようになった28歳の男性です。
大阪の地元の市立病院泌尿器科を受診し、「慢性前立腺炎」と診断されました。抗生剤(クラビット)の投与を受けましたが治りません。
そこで当院を受診しました。検査を実施すると全く違う事実が判明しました。
Ureterocele22398m2832din一般的な超音波エコー検査で、尿管口に袋状の物体が観察でき、その袋が収縮・拡張を繰返しています。






Ureterocele22398m282invert3D画像で確認すると、膀胱壁内の尿管も拡張しているようです。






Ureterocele22398m2853dpp3D画像で、膀胱三角部を中心に観察すると、右の写真のようです。
これは両側尿管瘤といって、尿管口が何らかの原因で狭くなり、尿管の末端が風船のように膨らんでしまったのです。





Netterureterocele医学専門書に掲載されているイラストです。【ネッタ・チバコレクションから】
上記のように解説してもなかなか理解できませんが、イラストを参考にするとイメージできるでしょう。



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若者の尿失禁

二十歳の男性が、2週間前から寝具を濡らすほどのお漏らしをしたと、近所の開業医の医...

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尿意と便意

Trigonhasei便秘をすると尿意が頻繁に感じることがあります。また、頻尿の患者さんには便意も生じることがあります。
尿は腎臓・尿管・膀胱・尿道という泌尿器を通過し、大便は食道・胃・小腸・大腸・直腸という消化器を通過します。臓器は別の役割を担っているのに、不思議に思われる方も多いでしょう。
その答えのヒントになるのが、右の発生学のイラストです。
胎児の発生初期には、「総排泄腔」という袋状の臓器があり、そこに胎児の老廃物(尿・消化管液)は集められ、へその緒を通じて母体に捨てられていました。
胎児が成長すると、総排泄腔の中央あたりに「尿直腸中隔」という壁が延びてきて、膀胱と直腸を上下に分割するのです。結果として総排泄腔の上が膀胱に、下が直腸になります。膀胱も直腸も元々は一つの臓器だったので、脊髄レベルでは神経支配が本当に隣り合わせです。中には膀胱と直腸の神経が一部共用している人も存在するので、尿意と便意が密接に連動する人がいるのです。

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脊髄腫瘍による神経因性膀胱 コメント相談より

「神経因性膀胱は治らない?」にコメント相談がありました。
内容がとても重いので、ここで詳細に回答します。
少しずつしか回答できませんので、お待ち下さい。
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【相談】
去年の夏に“脊髄星状細胞腫”と診断され、手術をしました。
その際に“T12-L1”の位置を一部骨切りをし、腫瘍を除去しようと試みました。
しかし、病理検査の分しか、取れませんでした。
その時に、神経に触れたのか、徐々に下肢に麻痺が出現し、歩く事(立位も)が出来なくなり、寝たきり状態になりました。
今年の4月には、排泄障害も出てきました。
症状が出る、数時間前までは、尿意があり、尿器に出てましたが。
その後、尿意が無くなり、失禁状態になりました。
数日後になると、今度は出なくなり、腹部の膨満感が酷く、バルーンを挿入すると、一気に“3000cc”ほど出ました。
それからは“バルーン”を留置しています。
今は尿意・便意は無く、時々“ペニス”が「ザワザワする」と言ってます。
脊髄の病気になると、一度機能が停止した部分は、戻らないと聞きましたが、かすかに感覚がある!?以上は、望みを途絶えたくないと思ってます。
このような症状でも、尿意が戻り、自尿が出るようになりますか?
彼はまだ“・・歳”です。

長くなりまして、申し訳ありません。
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【高橋クリニックからの回答】
星状細胞腫は、通常頭蓋内脳腫瘍の10%を占める腫瘍です。予後は様々で、頭蓋内の場合、外科的全摘出は不可能とされています。放射線感受性がないことが多いので、放射線治療は期待が持てないようです。
脊髄腫瘍の場合、硬膜内と硬膜外のどちらかに局在します。侵された脊髄レベルの症状が徐々にみられます。
硬膜外の場合は早い時期に神経根症状として痛み症状が顕著に表れます。
腫瘍の成長により、脊髄の圧迫・動脈静脈の閉塞による虚血、硬膜内・脊髄内の場合は直接浸潤による脊髄障害が出ます。

ご主人の症状に「痛み」が強く表現されていないので、おそらく脊髄内の星状細胞腫と思われます。
この病気の特徴から次第に麻痺や神経障害が出現するので、手術をしてもしなくても、必ず現在の症状になったと思われます。ですから、執刀医を責めたり、手術に対して後悔することは止めましょう。

腫瘍病変部が「T12とL1」という事実から、・・・

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「新内視鏡手術」 健康雑誌「わかさ」4月号

Wakasa健康雑誌「わかさ」4月号の別冊付録「尿のトラブルスッキリ解消!新作戦」で私の内視鏡手術が紹介されました。

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感染症の真実 共生関係

Sanmi1tai_3【曼荼羅図】
感染症の経過をみると、さまざまなパターンがあります。
一見して一貫性がないように思えるこの自然現象(病気はすべて自然現象)を注意深くみていくと、右のイラストのように思えます。
まるで仏教世界の曼荼羅図のようですが、これを使って複雑な感染症の世界を解説しましょう。理解できた時点であなたは解脱したのです・・・。
まずは、イラストの説明から・・・

【配置と役割】
この曼荼羅イラストは、人間を中心にバイ菌(細菌)・カビ(真菌)・ウィルスを配置しています。人間の上部には、白血球・免疫抗体が配置され人間を守護しています。
人間・バイ菌・カビ・ウィルスの輪郭が二重に表現されています。
一つ目の輪郭は、本来の背伸びをしていない、あるいは無理をしていない存在範囲です。
二つ目の輪郭は周囲に対して存在を過剰にアピールしている逸脱した状態を意味します。各々の調和が取れていない状態ともいえます。

一般の人の中にはバイ菌を敵視し、殺菌!消毒!抗生剤!とお題目のように唱え実行する人がいます。しかし人間はバイ菌がいなければ生きていけません。腸内に存在する大腸菌や乳酸菌は、発酵で人間に必要な栄養素(ビタミン)を産生します。バイ菌は人間から栄養を頂戴しエネルギーを作って、自らを生かしています。
この関係は、持ちつ持たれつの共生関係です。健康な状態の時には、この共生関係が良好だということになります。

人の体を調べれば分かることですが、人間にはバイ菌以外にもカビもウィルスも無数に存在します。人間の細胞の数が60兆といいますから、恐らく何十兆何百兆という微生物が存在するでしょう。カビやウィルスとの共生関係を示す知識を私は持ち合わせていませんが、おそらく共生関係にあるのでしょう。
病気にならないためには、この良好な共生関係を保つことです。共生関係のアンバランスが炎症や病気の原因です。

バイ菌が自己主張すると、守護神の白血球が抑えにかかります。ウィルスが自己主張すると、今度は免疫抗体が抑えにかかります。
ところが守護神である白血球も免疫抗体もカビを抑えることはできません。でもご安心下さい。バイ菌とカビは敵対関係にあり、いつもお互いを牽制し合い、その力関係は均衡状態で維持しています。常にバイ菌の方が強いのでカビは小さくなっています。
カビは植物に近い微生物です。我々人間は植物細胞に対して免疫がありません。元来動物細胞は植物細胞に寄生していましたから、遠い太古の過去のから植物に対して免疫を持つ必要がなかったのです。しかし、最近食物アレルギーや花粉症などの植物に対しての免疫異常が問題になっていますが、これは、ここ数十年の生命界の異常事態です。
Treponema免疫がつかない有名な病原菌として「梅毒」があります。梅毒の原因菌であるトレポネーマもやはり植物由来の菌らしいのです。
動物細胞にとって植物由来の細胞からできている病原菌は、免疫が獲得できない厄介な存在です。
(画像:戸田新細菌学 南山堂から)

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「排尿障害」フォーブス日本版3月号

Forbes経済月刊誌「フォーブス日本版」3月号(2月発売)180ページ~185ページにわたって「排尿障害」をテーマにした特集が掲載されています。

昨年の暮れに取材を受けました。
経済誌から取材を受けたのは初めてです。
取材記者によると、経済誌の読者に中高年の方もおられるので、健康をテーマに定期的に取材を行なっているそうです。
内容は、いつもブログの中で私が主張していることです。

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人生いろいろ、膀胱の表情もいろいろ?

以前に立体画像として観察できる3D4D(立体)超音波エコー検査について解説しました。
主に下部尿路症(膀胱・前立腺・尿道に関連していると思われる症状)を訴えて来院された患者さんのうち、平成19年9月~平成20年2月の5ヵ月間にこの検査を行った患者さんが実に300人を超えました。
この検査で分かったことは、普通の2次元(2D)超音波エコー検査では想像もつかなかった多彩な所見が得られたことです。もちろん病的な所見ですが、膀胱はいろいろな表情を実は示していたことが分かりました。
ここで、その表情を疾患別にまとめてご紹介しましょう。

Wnlmorifice_2【正常の膀胱表情】
まずは、膀胱底部の標準的表情です。
膀胱底部とは、膀胱出口周囲の膀胱の一番底に当る部分です。
男性だと前立腺に接しています。女性だとその裏に子宮が接しています。
膀胱出口の形状によって病気(下部尿路症)が出現します。
膀胱出口に向かってシワが何本か観察できます。これは膀胱縦走筋です。膀胱出口を開くために存在します。

Bnclose_2【正常の膀胱表情 イラスト】
上の画像をイラストで解説したのが右の図です。
膀胱出口(膀胱頚部)が中央に位置し、円形に観察できます。円はほぼ正円です。正円以外の膀胱出口の形状は、病気の原因になります。
排尿筋である輪状膀胱平滑筋がブーメラン状の形状をしています。
その間に膀胱三角部が存在します。

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未病#2

Mibyo以前に他のテーマのブログの中で「未病」について説明しました。
ここでは、もう少し一般的な概念として説明したいと思います。
私たちが、健康と病気を概念として考える時、右のような図をイメージします。つまり、「健康」と「病気」という2つの塊が別々に存在しています。健康な人が風邪にかかれば病気になり、1週間も経過すれば、健康になるという感覚です。2つの山を赤い矢印で示すように行ったり来たりです。まるでデジタル信号です。「オン・オフ」、「1・0」の繰り返しです。容易に理解できますね?

しかし・・・

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思い込み 「神経因性膀胱は治らない?」

この命題は、ある意味「本当」で、ある意味「嘘」です。
医師は、神経因性膀胱そのものは元の健全な膀胱に戻ることはないし、神経因性膀胱による症状(排尿障害)も治ることはないと、考えています。
私は、膀胱が元の健全な膀胱に戻ることはないと思っていますが、神経因性膀胱による排尿障害という症状は「治る」と考えています。
膀胱に力がないから排尿できないというのが神経因性膀胱の一般的な概念です。
私はこの概念を否定しています。例え本当に神経因性膀胱であっても治療法が的確であれば、排尿障害は治るというのが、私の自論です。

下記にその実例を上げましょう。

患者さんは岩手県在住の73歳男性です。
たまたま受けた健康診断でPSAが4.2(正常値は4.0以下)とわずかに高く、前立腺癌を疑われ、病院に入院して前立腺針生検を受けました。
12ヵ所の生検で1ヵ所から偶然に(12分の1ですから偶然と考えてよいでしょう)癌細胞が発見され、その後お決まりのホルモン療法を受けています。
前立腺癌の骨転移を調べる骨シンチ後に、まったくオシッコが出ない尿閉状態になり、それ以来6ヵ月間1日6回の自己導尿(自分でカテーテル・管を尿道から膀胱まで挿入し排尿する操作)を続けています。
大学病院から定期的に来る「神経因性膀胱専門」の偉い泌尿器科医は「神経因性膀胱」と当たり前のように診断し、自己導尿は一生続ける必要があると誰でも思いつく判断です。
患者さんにしてみれば、それまで自分の力で排尿できたのに、針生検や検査後から自然排尿できなくなったことを考えると納得がいきません。神経因性膀胱も以前からあったものだとの医師の判断です。
前立腺癌腫瘍マーカーのPSAは1を前後しています。患者さんの悩みは前立腺癌ではなく排尿障害であるにもかかわらず、主治医は執拗に放射線治療をすすめます。

さてさて、その患者さんが業を煮やして岩手から東京の高橋クリニックに来院されました。
検査で頑張って自尿が85ml、残尿が500ml以上です。患者さん曰く、「何とか自然排尿できた時は、直後の自己導尿での残尿は必ず500ml以上」という状態です。

ここで問題点を整理しましょう。・・・

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急性副睾丸炎の本当の原因

83歳の男性が近所の開業医の先生から紹介されて来ました。 4日前から左の睾丸が痛...

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重複腎盂尿管

患者さんがドクターショッピングをなさり、色々な病院でいろいろな検査を行ってきます...

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粉瘤(アテローム)と蜂か織炎

粉瘤(アテローム)は体のいたるところにできます。 粉瘤は、そのままでは何事もない...

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尿道口のアテローム

アテローム(粉瘤)は、体のいたるところに発生します。 今回紹介する患者さんは、尿...

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死亡原因ではない前立腺ガンの罹患率

昨年暮れ、都内の泌尿器科医のクローズの食事会があり、私の1年後輩の和田鉄郎先生(...

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器械的反復刺激性包皮裂傷・包皮炎

器械的反復刺激性包皮裂傷・包皮炎なんて病名は聞いたこともないでしょう?私も初めて...

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傍外尿道口嚢胞

傍外尿道口嚢胞(ぼうがいにょうどうこうのうほう)をご存知ですか?先天性の(生まれ...

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腎腫瘍

昨日(2006年6月29日)のニュースで、あるプロレス団体のスター選手が、腎腫瘍...

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非性病性硬化性リンパ管炎

ペニスに硬いしこりができた!といって驚いて相談に来られる男性がおられます。 診察...

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「陰嚢のかゆみ」 陰嚢掻痒症と排尿障害

臨床の現場では、時に原因が分からない病気に遭遇することがあります。
その例として、陰嚢掻痒症(いんのうそうようしょう)があります。別名、陰部掻痒症・陰門掻痒症です。女性の場合もあります。何しろ男女の区別なく、ハッキリした皮膚に所見もなく、外性器・肛門が痒くなる病気です。皮膚の所見は掻きこわしの所見だけです。
皮膚科は視診がとても重要です。皮膚にできた皮疹・湿疹・丘疹・発疹などを観察して、病気を診断するのです。なのに、皮膚が全く正常で、それでいて異常にかゆいのです。これでは皮膚科医も困るでしょう。原因が分からないので、取り合えず対症療法として痒み止めの軟膏や抗ヒスタミン剤を処方しますが難治性で再発を繰返すようです。
さて、ある時、皮膚科の病気に関して調べ物をしていたら、たまたま陰嚢掻痒症なる言葉を見つけ、詳細に読むと原因が前立腺肥大症・尿道狭窄となっているではありませんか!一般的な泌尿器科医にはこのような知識はありません。(私だけがないのか?・・・少し心配になりますが・・・)

220_1皮膚科の先生は、恐らく前立腺肥大症のような排尿障害は尿の切れが悪く、陰嚢に尿が付着してかゆくなるのだろう思っているのではないでしょうか。
しかしこれは誤解でしょう。なぜなら、陰嚢が尿でかぶれて痒みが生じるのであれば、赤ちゃんのオムツかぶれのように陰嚢皮膚が赤くただれていなければなりません。ところが陰嚢掻痒症の場合、ほとんど方が原因不明とされるように陰嚢皮膚は正常です。
では、なぜ痒くなるのでしょう。その原因を考えるのに関連痛という生理学的生体反応を知ると容易に理解できます。
生理学では、痒み=微細な痛み感覚として考えます。ですから陰嚢のかゆみ=陰嚢の痛みとして理解できます。もう少し正確に表現すれば、陰嚢の皮膚のかゆみ=陰嚢の皮膚の微細な痛みということになります。すでに説明したように、関連痛は現在痛みのある場所・部分とは異なる、離れた他の臓器・器官の刺激が、投影されて感じる痛みのことを指しています。しかし、そこには一定の法則があります。関連痛を感じている皮膚と同じ脊髄中枢の位置でコントロールされている臓器・器官の病的刺激の投影であるということです。
陰嚢の皮膚を支配している脊髄中枢は仙骨部脊髄2番~4番です。仙骨部脊髄2番~4番中枢で支配されている臓器は、膀胱・前立腺・尿道・直腸・子宮頚部(女性のみ)です。ですから、膀胱・前立腺・尿道・直腸の病的刺激で陰嚢は関連痛が生じることになります。
陰嚢のかゆみ(関連痛)を訴える患者さんに遭遇(診察)した場合、これらの臓器・器官の病気を選択肢として考えなければならないことになります。
19286m76scrbph【写真】の患者さんは76歳男性です。
夜間2回の頻尿と陰部のしめり感を訴え、近くの病院から紹介されて来ました。
ご覧のように陰嚢部の痒みで皮膚を掻き壊しています。陰嚢から股間にかけて皮膚が痛々しく見えます。
排尿障害を改善させれば、この痒みもおさまると考え、排尿障害の治療薬であるハルナールDを処方しました。
患者さんが服用し続けたら、かゆみは収まりました。Itch19286m77その結果、【写真】のように皮膚はきれいになり正常の状態に戻りました。

【参考】
最近(平成19年8月から)、産科用の3D4D超音波エコー検査を駆使して膀胱出口を観察しています。この陰嚢掻痒症の患者さんの立体画像を説明していますから参考にご覧下さい。

【備考】
この記事をもとに、「陰嚢掻痒症」の患者さんを集め2009年10月松本で開催された日本泌尿器科学会で報告しました。興味ある方は、そちらをご覧下さい。

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メール相談 「陰茎と肛門のしこり」

突然のメール失礼いたします。 早速ですが、今コンジロームなのかどうか悩んでいます...

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前立腺結石

前立腺結石は前立腺内に生じる結石です。発生原因は不明です。 慢性前立腺炎症状で原...

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尿道下裂

時折、成人の尿道下裂の患者さんが来られます。尿道下裂は先天性の病気、いわゆる奇形...

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多発性粉瘤症 ご婦人編

以前に男性の多発性粉瘤症の患者さんを紹介しましたが、ご婦人でも同じ病気があります...

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メール相談 「オナニー」

【相談】 「 小学校4年生中盤くらいからいつもオナニーをして一人で射精を毎日かか...

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陰茎粉瘤

以前、多発性粉瘤症について述べました。粉瘤は皮脂腺が限局性に増殖した状態をいいま...

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尿のシミ出しpost-micturition dribble PMD

男性の方で排尿後のオシッコの「シミ出し」で下着を汚したり、太ももに尿が流れた経験をしたことがありませんか?思い当たる方も多いでしょう。どんなにペニスを振ってオシッコを切ってもシミ出しを抑えることが出来ないのです。
このオシッコの「シミ出し」を専門用語でpost-micturition dribble PMDといいます。専門書によれば、尿道球部の平滑筋(球海綿体筋)収縮が排尿後に十分に行われないため、尿道球部内のスペースに残った尿が後から排出する現象をいいます。この現象は、前立腺肥大症や排尿障害の患者さんで多く認められます。患者さんの中には尿失禁だと訴える場合が多いようです。オシッコの切れの悪さの一面でもあります。

専門書によれば、このPMDは上記のように原因不明の尿道球部収縮障害と結論して話が終わっています。専門書執筆を依頼されるほどの泌尿器科専門家が、男性の多くが経験しているであろう現象の根拠について、この程度にしか説明できない訳ですから、泌尿器科の病気にまつわるあらゆる現象に関して、一般病院の泌尿器科医がいかにいい加減な説明を行っているか容易に想像出来ます。

膀胱の2つの機能、蓄尿・排尿に関しては、様々なレベルの中枢をセンターとする反射回路が存在します。一番活躍しているのが仙髄(仙骨部脊髄中枢神経)で、腰髄・胸髄・延髄と拡がっていきます。
「シミ出し」現象で問題になるのが、膀胱-仙髄-尿道反射です。膀胱出口に尿が浸入あるいは存在すると、尿道が開くという神経反射です。膀胱出口付近に尿があれば、尿道が開いて尿を出しやすくするというこの反射機能は、考えてみればとても合目的です。当たり前と言えば、とても当たり前の機能に思えて仕方がありません。この当たり前の機能が正常に働いて尿道球部が開いたままになっているのであれば、(専門家のように)その現象を異常と考えるより、膀胱出口に尿が残っている排尿障害と考える方が自然な論理展開だと私は思います。
すなわち、排尿後の尿の「シミ出し」現象は、排尿障害があるという間接的な警告症状だと考えると、話が一本につながります。決して原因不明の現象ではありません。

PMDの簡単な対処法をお教えしましょう。
urethral milkingと呼ばれる方法です。陰嚢中心から肛門にかけての場所、いわゆる会陰部に両手人差し指と中指の指先を当てます。会陰部の真裏に問題の尿道球部があるからです。その会陰部をペニスに向かって4本の指先でしごくのです。しごく度に尿道球部に残る尿がピュッと飛び出ます。これを出なくなるまで何回か行えばOKです。

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